石油販売のトップライン、4月8日に新規上場と最終決定

ようやく25年の第1号、PSEの年間目標6社達成に黄信号

2025/03/25

  セブを拠点とする石油製品販売企業であるトップライン ビジネスデベロップメント(トップライン、証券コード:TOP)のIPO(新規公募)・フィリピン証券取引所(PSE)メインボードへの上場計画が、3月21日、最終承認された。当初計画より大幅に遅れているトップラインのIPO・新規上場がようやく実現する。2025年最初のIPO実施・新規上場企業となる。

 フィリピン証券取引委員会(SEC)やPSEの最終承認によると、TOPのIPOは2025年3月24日~31日、新規上場日は4月8日となる。IPOでの売却株数は最大で約23億6,484万株(2億1,484万株の増加オプションをフル行使の場合)、1株当たりIPO価格は0.31ペソであり、IPO規模は最大で約7億3,300万ペソとなる。

  
 当初トップラインは2024年11月27日~12月3日にIPO実施、12月12日に新規上場と計画していた。上場に際しての新規公募(IPO)においては最大40億5,141万株(3億6,831万株の増加オプションをフル行使の場合)の普通株(1株額面0.10ペソ)を、1株当たり最高0.78ペソで売却、調達額は最大で約31億6,000万ペソと想定されていたが、結局4分の1以下の規模に縮小された。


 フィリピン証券取引所(PSE)の上場企業数は低水準であるうえ、このところのPSEの新規上場促進努力にもかかわらず伸び悩みが続いている。

 PSEにおける新規上場社数は、2014年7社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10社(うち1社はIPOを経ないイントロダクション方式での上場)へと増加したが、2023年は3社にとどまった。2024年についても3社でPSEの目標6社を下回った。なお、裏口上場は既存上場企業の衣替えであり上場企業数が増えるわけではない。正式な新規上場企業数増加が喫緊の課題といえよう。

 2025年についても第1四半期の新規上場はゼロである。PSEは2025年のIPO・新規上場案件に関しては6社目標と表明している。PSEは、SMプライム ホールディングス(SMプライム、証券コード:SMPH)によって創設される不動産投資信託(REIT)のSM REIT、モバイルマネーGキャッシュの運営企業グローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt社)、丸紅が20%出資しているマイニラッド ウォーター サービス(マイニラッド)、カジノリゾート「オカダ・マニラ」運営企業など有力企業のIPOを期待している。しかし、大半の企業は上場時期などは慎重に検討としており、現在の市場環境などから判断すると、これらの有力企業が揃って2025年内に新規上場する可能性は薄く、PSEの目標達成は難しいとの見方が増えている。

 その一方、シンガポールのケッペルの現地法人である持株会社ケッペル フィリピン ホールディングス(証券コード:KPH)が、2025年2月20日開催の臨時取締役会において、PSEからの自主的上場廃止申請書の提出を承認した。このような上場廃止の動きも続きそうであり、上場企業数の伸び悩みが続きそうである。ただ、2024年の3件のIPO総額が約119億ペソと低水準であったことから、2025年のIPO総額は大幅に増加する見込みである。

 なお2025年2月末時点のPSE上場企業数は283社で、2024年末の283社から変わらず。283社の業種別内訳は金融30社、工業73社、持株会社34社、不動産47社、サービス64社、鉱業・石油(資源開発)23社、中小企業(SME)ボード企業11社、上場投信(ETF)1社。


 フィリピン証券取引所(PSE)上場企業数などの推移
2019 2020 2021 2022 2023 2024 2025予
新規上場企業数 4 4 8 10 3 3
上場廃止企業数 2 1 3 0 6 3 N.A.
年末上場企業数 268 271 276 286 283 283 N.A. 
(出所:PSE資料などより作成、2025年予想はPSEの目標数)