IPSと大成建設、比東海岸に海底ケーブル陸揚局建設

南シナ海「九段線」海域を回避、AIデータセンター併設構想も

2025/05/14

 日比等で先端技術活用の通信事業などを展開する株式会社アイ・ピー・エス(IPS、本社:東京都中央区)は、5月13日、「フィリピンにおいて電気通信事業を手掛ける子会社 InfiniVANは5月9日、フィリピン中部ルソン地方アウロラ州バレルにおける新たなケーブル陸揚局建設プロジェクトを始動した」と発表した。
 
 これに伴い、一部作業を先行して実施するTAISEI PHILIPPINE CONSTRUCTION, INC.(大成フィリピン建設)との最終契約に先立ち、首都マニラにて署名セレモニーを執り行った。急増するインターネットトラフィック需要に対応するため、InfiniVANは、フィリピンにおける通信ネットワークの拠点整備を推進している。
 
 今回の陸揚局建設は、全国展開の更なる加速と、オープンアクセス型通信インフラの基盤構築を図るものであり、バレル陸揚局は、以下のような地理的・戦略的利点を備えている。
・フィリピン北部の中部ルソン地方アウロラ州の東海岸に位置し、国際海底ケーブルのオープンアクセス(キャリア中立)な陸揚げを可能とするロケーション。既に見込顧客との商談が進行中
・南シナ海の「九段線」の海域を避け、日本・米国等の太平洋方面からのアクセスが容易
・フィリピンの通信インフラを強靭化し、災害や地政学リスクに強い社会基盤を構築
・将来的には、AIデータセンター併設を視野に入れた拠点開発も構想
 
 <TAISEI PHILIPPINE CONSTRUCTION, INC.(大成フィリピン建設)>
 1989年から現地法人「大成フィリピン建設」の事業を開始。30年以上にわたり、フィリピンに進出した日系企業の事務所や工場建設などを支援している。
 
 <InfiniVAN, Inc>
 社会課題である通信インフラの地域間格差是正に取り組む。2023年12月には、フィリピン国内の島々を結ぶ海底ケーブルネットワーク「Philippine Domestic Submarine Cable Network(PDSCN)」が完成。これにより、これまで主にマニラ首都圏に限定されていた通信サービスを、フィリピン全土に拡大する足がかりを築いた。2024 年にはセブ市にオフィスを新設。ビサヤ・ミンダナオ地域を含むフィリピン全土へサービスを拡大している。