丸紅出資のマイニラッドウォーター、7月17日に新規上場意向

7月3日~9日予定のIPOは最大で458億ペソ、過去第2位の可能性

2025/05/19

 マニラ首都圏西半分などをサービスエリアとして水道や下水処理サービスの提供しているマイニラッド ウォーター サービス(マイニラッド)が間もなくIPO(新規公募)を実施、フィリピン証券取引所(PSE)に新規上場する見込み。米国の関税政策や金融政策の不透明感やフィリピンの政局混乱懸念などで株式市場が軟調に推移、複数の有力企業のIPOの延期が懸念されるなかで、マイニラッドが2025年の唯一の大型IPO案件となるとの見方が強まっている。
 
 マイニラッドは、202112月に25年間の事業権延長を承認された際に、事業権延長付与から5年以内(20271月期限)に発行済株式の少なくとも30%の公開を義務付けられた。したがって、2026年末までにIPOPSE新規上場を完了する必要がある。514日付の最新の目論見書によると、IPOによる調達額は最大458億ペソ(追加オプションをフル行使の場合、以下同様)とされており、当初案の最大4915,000万ペソから若干引き下げられた。予定公募株数が最大229,000万株とされ、これまでの最大246,000万株から減少した。発行価格の上限はこれまで通り1株あたり20ペソに据え置かれている。

 IPO規模が458億ペソとなれば、過去最大であるモンデ ニッシンのIPO(20216)486億ペソに次ぐ第2位の規模となる可能性がある。マイニラッドのIPO202573日~9日、PSEへの新規上場日は717日と予定されている。新規上場日はこれまで710日と予定されていたが、1週間遅れる見込み。
 
 マイニラッドは、マニラ首都圏上下水道事業民営化におけるフィリピン政府・MWSSとの民間委託契約(コンセッション契約)に基づき、マニラ首都圏の西地区全17市区などをサービスエリアとして、浄水や下水処理サービスの提供、上下水道管路網の維持管理、検針や料金徴収までを含むフルコンセッション事業を行っている。サービスエリア内の人口は、フィリピンの人口のおよそ一割に相当する1千万人超であり、単一コンセッション契約に基づく民間水道事業としては、サービスエリア内の人口において世界最大規模である。
 
 現在マイニラッドは、フィリピンの有力コングロマリットであるメトロ パシフィック インベストメンツ、DMCIホールディングス(証券コード:DMC)、丸紅との合弁企業となっている。出資比率はMPI52.8%DMCIホールディングス25.3%、丸紅20%である。丸紅は2013年に、20%の間接出資を行っている。