5月の失業率3.9%、前年同月の4.1%から改善

失業者3.4%減の203万人、不完全就業率13.1%

2025/07/08

 フィリピン統計庁(PSA)78日、20255月の労働力調査結果(速報値)を発表した。それによると、20255月の失業率は3.9%となり、前月および前年同月から0.2ポイント改善した。フィリピンの失業率は季節要因で大きく変動しがちであり、前年同月から改善したことは良い傾向と言える。

 20255月の15歳以上の人口は前年同月比1.1%増の7,946万人、労働力人口は同2.7%増の5,232万人。労働参加率は65.8%で、前年同月(64.8%)から上昇した。

 失業者数は203万人で、前年同月(211万人)から3.4%減少した。失業者を年齢層でみると、15-24歳が全体の28.1%25-34歳が39.0%、すなわち若年層(15歳~34)が全体の67.1%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は32.7%(卒業者は23.5%)、大学進学・卒業者が44.0%(卒業者は34.8%)だった。性別では、男性56.1%、女性43.9%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比2.9%増の5,029万人。業種別では、農業部門が21.1%(前年同月20.8%)、鉱工業部門が17.1%(19.3%)、サービス部門が61.8%(59.9%)だった。サブセクターで、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、卸売・小売業並びに自動車・オートバイ修理業、農林業、管理・支援サービス業、宿泊・飲食サービス業、その他サービス業。一方、最も減少した上位5業種は、製造業、建設業、鉱業・採石業、 行政・国防・義務的社会保障事業、上下水道・廃棄物管理・浄化活動。

 賃金・給与労働者は就業者全体の62.8%(前年同月62.9%)、従業員を雇用していない個人事業主は27.9%(28.2%)、無給の家族労働者は7.5%(7.3%)、家族経営の農場または事業に従事する雇用主は1.8%(1.7%)だった。賃金・給与労働者の中で民間企業労働者の占める割合は78.1%(就業者全体では48.4%)、政府系企業社員・公務員は15.0%(9.4%)だった。5月の週平均労働時間は39.8時間(前年同月40.6時間)。フルタイム就業者(40時間以上勤務)は就業者全体の64.5%(67.9%)だった。

 就業者5,029万人のうち不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者)の数は前年同月比37.1%増の660万人。不完全就業率は13.1%で前年同月(9.9%)を上回った。なお、不完全就労者全体の56.6%(前年同月59.7%)が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)

項目 24年5月 25年4月 25年5月
15歳以上人口(単位:千人) 78,635 79,592 79,462
労働力参加率(%) 64.8 63.7 65.8
失業率(%) 4.1 4.1 3.9
不完全就業率(%) 9.9 14.6 13.1
週平均労働時間(h) 40.6 39.9 39.8
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2024年5月以外は速報値)

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)

全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.4 12.3
2024年 64.4 3.8 11.9
 
2025年 1月 63.9 4.3 13.3
2月 64.5 3.8 10.1
3月 62.9 3.9 13.4
4月 63.7 4.1 14.6
5月 65.8 3.9 13.1
 
2025年1-5月 64.2 4.0 12.9
(出所:PSA資料より作成、24-25年は速報値)