マカティ地下鉄構想挫折で大混乱、仲裁手続き継続中
90億ペソの和解巡って前・現市長(ビナイ姉妹)が対立
2025/07/10
マカティ市地下鉄プロジェクトを巡って大きな混乱が生じている。
官民連携事業であるマカティ市地下鉄プロジェクトの民間側の主導企業であったインフラ関連持株会社フィリピン インフラデブ ホールディングス(インフラデブ、証券コード:INFRA、旧社名:IRCプロパティーズ)は、今年5月1日、「マカティ市政府との合弁契約(JVA)に基づくマカティ市大量輸送システム(マカティ市地下鉄)プロジェクトの継続は困難であると判断した」と発表した。
その主な理由としてインフラデブは、最高裁判所が、一部の地下鉄駅および車両基地構築予定地をそれまでのマカティ市管轄から隣接のタギグ市管轄に変更するとの判決を下したことと説明した。これらにより、マカティ市地下鉄プロジェクトは継続が難しくなり、インフラデブ取締役会は、同プロジェクトは経済的にも運営的にも実現不可能であると決議した。これを受け、マカティ市政府とのJVAの公正な解決を図るため、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)において仲裁手続きを開始した。
そして報道によれば、6月23日、マカティ市とインフラデブとの間で総額90億ペソに及ぶ和解(マカティ市が支払い)が成立したとのことである。しかし、この和解はマカティ市のアビー・ビナイ前市長が任期終了直前に締結したものであり、ナンシー・ビナイ現市長(アビー氏の妹)は『深夜和解』と批判、和解合意撤回を表明した。すなわち、和解を巡って姉妹でもある前・現市長が対立しているとのことである。
このような報道の正否を問うフィリピン証券取引所(PSE)に対し、インフラデブは、7月7日、「マカティ地下鉄プロジェクトに関連して、マカティ市政府に対する仲裁手続きをSIACに申し立てた。申立額は17億米ドルに達する。6月23日、マカティ市議会の承認を経て、マカティ市政府とインフラデブは1億6千万米ドル(約90億ペソの)和解合意書に署名した。ただし、仲裁手続きは現在も継続中である」、「マカティ市政府にインフラデブの子会社であるマカティ地下鉄株式会社の所有権を付与するか否かについては、現在もSIACにて審査中であり、最終決定は出ていない」と回答した。
なお、37億米ドル(約2,000億ペソ)規模の「マカティ市大量輸送システム(マカティ市地下鉄、10キロメートル、10駅)」のオリジナル提案者であるIRCプロパティーズ(現インフラデブ)は、2018年10月、このプロジェクトのスイスチャレンジ方式の挑戦プロセスを得て、マカティ市官民連携(PPP)セレクション委員会からマカティ市地下鉄システム建設・事業への参画権を獲得した。そして、インフラデブ、中国鉄建公司(CRCC)の100%子会社である中国土木工程集団有限公司(CCECC)、マカティ市との間の官民連携合弁事業として推進されようとしてきた。2018年12月には、マカティ市地下鉄プロジェクトの起工セレモニー(セレモニアル・ドリリング)が、マカティ市の市庁舎前で開催されたという経緯がある。
上記のようにマカティ市とタギグ市との地域紛争において、最高裁判所は2023年に、729ヘクタールのタギグ市ボニファシオ グローバル シティ(BGC)コンプレックスと周辺ビレッジは、タギグ市に帰属するとの最終判決を下した。マカティ市地下鉄プロジェクトの一部がこの地域に跨ることもあって、プロジェクト進行が遅れることになった。もともと、インフラデブが大型工事の実績に乏しい小型企業ということもあって、当初から実現は容易ではないとの見方もあった。
官民連携事業であるマカティ市地下鉄プロジェクトの民間側の主導企業であったインフラ関連持株会社フィリピン インフラデブ ホールディングス(インフラデブ、証券コード:INFRA、旧社名:IRCプロパティーズ)は、今年5月1日、「マカティ市政府との合弁契約(JVA)に基づくマカティ市大量輸送システム(マカティ市地下鉄)プロジェクトの継続は困難であると判断した」と発表した。
その主な理由としてインフラデブは、最高裁判所が、一部の地下鉄駅および車両基地構築予定地をそれまでのマカティ市管轄から隣接のタギグ市管轄に変更するとの判決を下したことと説明した。これらにより、マカティ市地下鉄プロジェクトは継続が難しくなり、インフラデブ取締役会は、同プロジェクトは経済的にも運営的にも実現不可能であると決議した。これを受け、マカティ市政府とのJVAの公正な解決を図るため、シンガポール国際仲裁センター(SIAC)において仲裁手続きを開始した。
そして報道によれば、6月23日、マカティ市とインフラデブとの間で総額90億ペソに及ぶ和解(マカティ市が支払い)が成立したとのことである。しかし、この和解はマカティ市のアビー・ビナイ前市長が任期終了直前に締結したものであり、ナンシー・ビナイ現市長(アビー氏の妹)は『深夜和解』と批判、和解合意撤回を表明した。すなわち、和解を巡って姉妹でもある前・現市長が対立しているとのことである。
このような報道の正否を問うフィリピン証券取引所(PSE)に対し、インフラデブは、7月7日、「マカティ地下鉄プロジェクトに関連して、マカティ市政府に対する仲裁手続きをSIACに申し立てた。申立額は17億米ドルに達する。6月23日、マカティ市議会の承認を経て、マカティ市政府とインフラデブは1億6千万米ドル(約90億ペソの)和解合意書に署名した。ただし、仲裁手続きは現在も継続中である」、「マカティ市政府にインフラデブの子会社であるマカティ地下鉄株式会社の所有権を付与するか否かについては、現在もSIACにて審査中であり、最終決定は出ていない」と回答した。
なお、37億米ドル(約2,000億ペソ)規模の「マカティ市大量輸送システム(マカティ市地下鉄、10キロメートル、10駅)」のオリジナル提案者であるIRCプロパティーズ(現インフラデブ)は、2018年10月、このプロジェクトのスイスチャレンジ方式の挑戦プロセスを得て、マカティ市官民連携(PPP)セレクション委員会からマカティ市地下鉄システム建設・事業への参画権を獲得した。そして、インフラデブ、中国鉄建公司(CRCC)の100%子会社である中国土木工程集団有限公司(CCECC)、マカティ市との間の官民連携合弁事業として推進されようとしてきた。2018年12月には、マカティ市地下鉄プロジェクトの起工セレモニー(セレモニアル・ドリリング)が、マカティ市の市庁舎前で開催されたという経緯がある。
上記のようにマカティ市とタギグ市との地域紛争において、最高裁判所は2023年に、729ヘクタールのタギグ市ボニファシオ グローバル シティ(BGC)コンプレックスと周辺ビレッジは、タギグ市に帰属するとの最終判決を下した。マカティ市地下鉄プロジェクトの一部がこの地域に跨ることもあって、プロジェクト進行が遅れることになった。もともと、インフラデブが大型工事の実績に乏しい小型企業ということもあって、当初から実現は容易ではないとの見方もあった。