2026年国家予算政府案、7.4%増の6兆7,930億ペソに

15日に大統領承認、対GDP比22%、人的投資優先課題に

2025/07/16

 マルコス大統領は、715日、2026年の国家予算案として、総額67,930億ペソの国家歳出計画(NEP)を承認した。

 総額67,930億ペソという2026年の国家予算政府案は、2025年当初予算案(63,260億ペソ)から7.4%の増加となり、包摂的な経済成長を支えつつ、財政健全性を維持するという政府の方針を反映したものとなっている。国内総生産(GDP)に対する比率は22.0%で2025年と同水準。

 開発予算調整委員会(DBCC)によると、「国家の可能性を最大限に引き出す未来志向の世代の育成」というテーマのもと、2026年予算案では、質の高い教育、医療、労働力のスキル向上といった人的資本への投資が最優先事項として位置づけられている。

 さらに、インフラ整備やデジタル化への継続的な投資も、20232028年フィリピン開発計画に沿って盛り込まれており、未来に対応できる強靭かつ有能な人材の育成を通じて、国家の潜在力を引き出し、「バゴン・ピリピナス(新しいフィリピン)」の実現を目指している。

 また今回の予算案には、政府調達の透明性向上や官僚機構の効率化を図る制度改革も盛り込まれている。具体的には、新政府調達法の制定や、重複業務の削減、手続きの簡素化を目的とした「政府最適化法」の批准などが挙げられる。また、DBCCは表1のように、政府の財政赤字上限を2025年は国内総生産(GDP)5.5%2028年までに4.3%へと削減する方針も示している。

 今回の予算案の主な内訳は以下のとおり。
・維持・運営費(MOOE)      :26,390億ペソ 各機関の日常的な事業運営費用
・人件費(Personnel Services)19,080億ペソ 公務員給与等
・資本的支出(Capital Outlays)12,960億ペソ インフラ整備などの投資支出
・財務費用(Financial Expenses)9,500億ペソ 債務償還や利払いなど

 表1. 2024-2028年の財政収支プログラム (単位:億ペソ、2025年6月26日設定)
項目/年 23年実績 24年実績 25年目標 26年目標 27年目標 28年目標
歳入 38,241 44,190 45,204 49,834 53,664 59,148
   対GDP比率 15.7% 16.7% 15.9% 16.2% 16.0% 16.3%
歳出 53,362 59,254 60,821 66,300 69,702 74,664
   対GDP比率 21.9% 22.4% 21.4% 21.5% 20.8% 20.6%
財政収支 -15,121 -15,064 -15,617 -16,466 -16,037 -15,516
   対GDP比率 -6.2% -5.7% -5.5% -5.3% -4.8% -4.3%
(出所:フィリピン国家経済開発庁資料より作成)

 2.フィリピン財政赤字と対GDP比率推移  (単位:億ペソ)
項目 年間実績推移
16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年
財政赤字 3,534 3,506 5,583 6,602 13,714 16,701 16,141 15,121 15,064
GDP比 2.3% 2.1% 3.1% 3.4% 7.6% 8.6% 7.3% 6.2% 5.7%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)