比政府、スービックで米国軍艦建造を提案

旧韓進造船所活用構想、米比防衛連携加速へ

2025/08/15

 フィリピン政府は、米国の艦隊拡充計画を受けて、中部ルソン島サンバレス州スービック湾の旧韓進重工業造船所を米軍艦の製造拠点として活用するよう米側に提案した。ロムアルデス駐米大使が、米・ASEANビジネス評議会の会合において明らかにした。

 ロムアルデス大使は、米国が数十年ぶりに造船産業の再興を目指す中、フィリピンの既存造船インフラがその需要に対応できると指摘。特にアギラ・スービック多目的施設は既にHD現代重工業フィリピンなどを主要テナントに抱え、2025年には約4,000人の雇用創出が見込まれている。2022年に米投資会社サーベラスが同施設を取得後、防衛関連製造への展開が模索されており、弾薬やドローンの製造工場設置についても米国と協議が進められているという。

 ロムアルデス大使は「経済力は戦略的強さの基盤」であると強調し、米国企業による比国投資が同盟の強化につながると訴えた。米国のカールソン駐比大使も、今後数年にわたり両国の安全保障関係が「上向きの軌道をたどる」との見通しを示した。今回の会合には、防衛・航空宇宙分野の26社を含む米企業60社近くが参加。ASEAN域内でも最大規模の対比ビジネスミッションとなり、フィリピンに対する米民間部門の長期的関与姿勢が示された。