米国防衛・航空宇宙産業、比での事業機会を模索

ボーイングやロッキードなど26社の使節団が訪問

2025/08/17

 米国防衛・航空宇宙産業の大規模使節団がフィリピンを訪問し、共同生産や技術移転を含む協力機会の模索を進めている。米国・東南アジアビジネス協議会(USABC)が主導する「2025年航空・防衛・安全保障(ADS)ミッション」には、過去最大規模となる26社が参加した。

 使節団は814日と15日にマニラで会合を重ね、防衛システムやデュアルユース技術、サイバー分野における協力、さらには人材育成の可能性について議論。USABCのテッド・オシアス上級副会長は「フィリピンの長期的な安全保障と経済発展支援に米国民間部門は強く関与していく」と強調した。

 参加企業は、ボーイングやロッキード・マーチン、GEエアロスペース、RTX、ノースロップ・グラマンなど大手のほか、防衛通信やAI、衛星関連企業も含まれる。代表団は、フィリピンのテオドロ国防大臣、ブラウナー参謀総長、沿岸警備隊や海空軍の司令官、予算管理省(DBM)や国会委員会関係者ら120人以上と会談した。

  フィリピン国防省は、共和国法第12231号「自立防衛態勢(SRDP)法」に基づく方針を説明。投資委員会やPPPセンターも参加し、産業界との官民連携の枠組みを協議した。現地企業では、ファーストフィリピン インダストリアルパークとアームスコア グローバルディフェンスが産業協力の展望を示し、とりわけアームスコアは輸入依存軽減と投資誘致を目指すSRDP計画への支援を明言した。

 今回の使節団訪問は、フィリピンの防衛近代化の次段階に向けた重要な節目と位置付けられており、インド太平洋地域における戦略的プレゼンスの強化を後押しするものとみられる。