不動産業界伸び悩み、上半期12社中7社が減益

合計純利益7%増の722億ペソ、株価は長期下落

2025/08/19

 フィリピン証券取引所(PSE)上場の不動産企業の2025年上半期(1~6月)の事業報告書が出揃った。集計12社のうち5社が増益、7社が減益となった。収入では、9社が増収、3社が減収。

 収入のトップであるアヤラランド(証券コード:ALI)の総収入は831億ペソと首位を維持したが、前年同期比1%の減少となった。帰属純利益は前年同期比8%増の142億ペソで2位だった。一方、最大のショッピングモール開発企業であるSMプライム ホールディングス(証券コード:SMPH)は収入では695億ペソと2位だったが、帰属純利益では245億ペソと首位を維持した。

 増収率および帰属増益率では、ジョリビー系ダブルドラゴン(証券コード:DD)が58%増収、56%増益を記録しトップであった。堅調なホテル101事業が業績を押し上げた。減益となったのは、ロビンソンズランド(証券コード:RLC)、ビスタランド(証券コード:VLL)、セブ ランドマスターズ(証券コード:CLI)、フィルインベストランド(証券コード:FLI)、ロックウェルランド(証券コード:ROCK)、シャンプロパティーズ(証券コード:SHNG)、ベレコープ(証券コード:BEL)。RLCは一時的損益を除いたコア帰属純利益では5%増となり、実質5%の増益だった。

<不動産各社の株価下落続く>
 業績回復ピッチが相対的に緩慢なこと、米国等の金融緩和が遅れていることが業績回復の妨げになるとの懸念、中国の不動産業界の高水準の債務問題などを背景に、不動産各社の株価は総じて軟調に推移している。これまでの高金利という環境下で、金利敏感セクターの代表格として売られている要素もある。年間ベースで24年まで5年連続で下落しているが、25年7か月間でも1.09%下落している。

 表1.主要上場不動産企業の25年上半期の決算動向(単位:百万ペソ、純利益は帰属ベース)

企業名 収入 増減率 純利益 増減率 純資産
アヤラランド 83,069 -1% 14,173 8% 303,783
SMプライム 69,481 6% 24,455 11% 442,888
メガワールド 40,655 11% 10,696 25% 256,875
ロビンソンズランド 23,032 8% 6,878 -5% 164,177
ビスタランド 19,587 3% 5,323 -1% 130,451
セブランドマスターズ 12,041 5% 1,652 -3% 21,374
フィルインベストランド 11,572 5% 1,814 -4% 91,263
ロックウェルランド 9,633 8% 1,913 -2% 32,421
センチュリープロパティーズ 7,636 7% 1,223 14% 22,588
ダブルドラゴン 6,950 58% 1,537 54% 55,266
シャンプロパティーズ 4,973 -5% 1,761 -34% 52,112
ベルコープ 2,474 -10% 779 -4% 38,816
合計 291,103 5% 72,204 7% 1,612,014
(出所:各社の四半期事業報告書より作成)

 表2.PSEセクター別株価指数上昇率
項目 21年 22年 23年 24年 25年6カ月間 25年6月末指数
PSE指数 -0.24% -7.81% -1.77% 1.22% -2.51% 6,364.94
全株指数 -10.64% -9.33% -1.08% 9.46% 0.88% 3,781.67
  金融株指数 10.95% 2.42% 5.71% 24.08% 5.61% 2,278.62
  工業株指数 10.76% -10.12% -2.94% 2.56% -2.85% 9,042.65
  持株会社株指数 -7.44% -5.49% -5.09% -7.63% -2.55% 5,496.55
  不動産株指数 -12.14% -9.04% -2.52% -16.73% 0.74% 2,394.73
  サービス業株指数 31.19% -17.73% -1.79% 29.70% 3.88% 2,162.58
  鉱業・石油株指数 0.77% 12.57% -7.48% -21.71% 21.39% 9,504.59
(出所:PSE資料より作成)