アラムコのフィリピン市場再参入、大きく前進

比競争委員会、ユニオイルへの25%出資を承認

2025/08/28

 フィリピン競争委員会(PCC)は、世界最大の総合エネルギー・化学企業サウジアラム(アラムコ)によるフィリピン第3位の石油販売会社であるユニオイルグループへの出資計画を承認した。これにより、アラムコはフィリピン市場への再参入に向けて大きく前進した。

 アラムコは今年2月、シンガポール子会社アラムコ・アジアを通じて、ユニオイル ペトロリアム フィリピンおよびユニオイル エナジーにそれぞれ25%を出資する計画を発表した。拡大を続けるフィリピンの燃料市場でのプレゼンスを高めるべく、フィリピン市場でダイナミックな展開をみせるユニオイルグループへの出資・参画を企図したのである。

 PCCは、アラムコによるユニオイル出資に関して、フィリピンの燃料市場、自動車・産業用潤滑油や冷却液市場、エタノール市場、ガソリン・ディーゼルの国際精製取引を含む競争環境を総合的に評価した。そして、「市場競争の実質的な制限をもたらす可能性は低い。既存の大手石油販売企業との競争が依然強く、新規参入も参入障壁が低いため十分可能」と判断した。

 なお、アラムコは1994年から2008年央まで、フィリピン最大の石油販売企業ペトロン(証券コード:PCOR)の株式40%を保有する主要株主であったが、その40%を2008年に英国系アシュモアに55,000万米ドルで売却したという経緯がある。したがって、ユニオイルへの出資が完了すれば、フィリピンに再進出することになる。

 ユニオイルは、1966年にコー・ファミリーによって設立されたフィリピン企業であり、潤滑油の製造と流通から事業を開始した。1998年の石油産業の規制緩和を機に、燃料の取引、流通、小売りに進出し、それ以来、一貫してよりクリーンで先進的な燃料製品の導入を業界でリードしてきた。現在、ユニオイルは、フィリピン国内に約170カ所の小売ステーションと四つの貯蔵ターミナルを擁しており、国内の燃料事業の重要な役割を担っている。さらに、今回のサウジ・アラムコとの提携により、アラムコおよびバルボリンのブランドを展開していく予定である。