8月のペソ対ドルレート、米利下げ観測等で2.08%上昇

8カ月間で1.25%上昇、ペソ安材料も多く上値重い展開

2025/09/01

 フィリピン銀行協会(BAP)のペソ対米ドル為替データによると、20258月の最終営業日29日のペソ対米ドルレート終値は1米ドル=57.130ペソとなり、前月末から1.190ペソ、率にして2.08%反発した。8月の終値ベースで最もペソ高となったのは13日の1米ドル=56.720ペソ、最もペソ安となったのは1日の58.145ペソだった。8月も米国金融政策の動きや観測に大きく影響を受ける展開となった。

 7月末の米連邦公開市場委員会(FOMC)において米金利据え置きが決定されたことなどで、8月は58ペソ台でスタート、前半はペソが軟調に推移した。しかし後半は、22日の米国連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の講演で利下げの可能性が示唆されるとの観測や実際に示唆されたことやFRBの政治的独立性に関する懸念に伴うドル安の流れが波及したことでペソが反発基調となり、結局月間で2.08%のペソ高となった。

 ただし、フィリピンでの追加利下げの動きやサラ・ドゥテルテ副大統領に対する弾劾訴追手続きは違憲との判決が下されたことにともないマルコス政権基盤が弱体化し政局混乱につながるとの懸念が再燃したことなどで、ペソの上値も重い展開であった。

 2025年年初8カ月では1.25%のペソ高となった。8カ月間の終値ベースでのペソ最安値は113日の1米ドル=58.700ペソ、最もペソ高となったのは523日の1米ドル=55.250ペソであった。トランプ関税政策のフィリピン経済などへの悪影響懸念、対外負債増加、正副大統領陣営の対立に伴う政局混乱懸念、南シナ海領海問題などペソ安材料は少なくなかったが、次第に米国の景気や労働市場鈍化観測、米利下げ観測が高まったことによるペソ安が波及したことで、8カ月間でもペソが小幅上昇した。

 ペソ対米ドルレートの動き(年末値/月末値)
時期 年末・月末値 上昇率
2017年 49.930ペソ -0.42%
2018年 52.580ペソ -5.04%
2019年 50.635ペソ 3.84%
2020年 48.023ペソ 5.44%
2021年 50.999ペソ -5.84%
2022年 55.755ペソ -8.53%
2023年 55.370ペソ 0.70%
2024年 57.845ペソ -4.28%
2025年 1月末 58.365ペソ -0.89%
2月末 57.995ペソ 0.64%
3月末 57.210ペソ 1.37%
4月末 55.840ペソ 2.45%
5月末 55.745ペソ 0.17%
6月末 56.330ペソ -1.04%
7月末 58.320ペソ -3.41%
8月末 57.130ペソ 2.08%
2025年 1-8月 - 1.25%
(出所:フィリピン銀行協会資料より作成)