25年上半期の金属鉱物生産額、15%増の1,356億ペソ

金のシェア58.9%で首位、ニッケル類市況下落で2位に

2025/09/04

 鉱山地球科学局(MGB)93日、金価格の上昇などにより、2025年上半期(16)の金属鉱物生産額は前年同期比(以下、同様)15.1%増の1,3562,000万ペソに達したと発表した。

 金価格は1トロイオンス当たり3,000米ドルを上回る水準で推移し、20256月には3,354.35米ドルの最高値を記録した。銀も同様の傾向を示し、同月に1トロイオンス当たり35.86米ドルの最高値に達した。銅も堅調で、2025年半ばまでに平均4.28米ドル/ポンドと6.6%上昇した。一方、ニッケル価格は下落し、上半期平均は1ポンドあたり6.98米ドルとなった。

 金・銀・銅価格の堅調さは、関税関連の不確実性、持続的な地政学的緊張、中央銀行による金の買い増し、そして安全資産としての金属の恒久的な役割など、複数の要因に起因する。対照的にニッケル価格は、中国など主要最終需要家の需要減退に加え、市場の供給過剰状態を反映して軟調となった

 金属鉱物生産総額への寄与度は、金が58.9%で首位、2位はニッケル鉱石とその他ニッケル副産物グループの29.4%3位は銅の10.1%。クロム鉱石+鉄鉱石グループは0.6%だった。

 2025年上半期において、ニッケル直接船積鉱石、ニッケル・コバルト混合硫化物(MNCS)、およびスカンジウム・オキサラートの合計生産額は、前年同期の4742,000万ペソから3987,000万ペソへと急激に減少した。ニッケル直接船積鉱石が最も大きな影響を受け、生産量は23.9%減、生産額は19.3%減となった。これは主に、複数のプロジェクトにおける生産不足と世界的な金属価格の低迷によるものである。地域別生産量では、フィリピンニッケル生産拠点として知られるカラガ地域が36.6%(443DMT)で最大のシェアを占めた。

 企業レベルでの主な動向としては、サンバレス・クロマイト鉱業会社が生産を開始した一方、リオ トゥバ ニッケル鉱業会社は生産量が53.9%減少したと報告し、シティニッケル鉱業開発会社は当該期間中に生産を全く記録しなかった。

 コーラルベイ ニッケル社とタガニトHPALニッケル社(THPAL)によるニッケル・コバルト混合硫化物(MNCS)の生産量は前年比2.4%減少した。一方、THPAL の操業による副産物であるシュウ酸スカンジウムは56.3%の大幅な減少を記録した。

 2025年上半期における鉱業事業からの推定物品税徴収額は、約311,000万ペソに上った。鉱山種別内訳は、金鉱山-162,000万ペソ(51.9%)、ニッケル鉱山-89,000万ペソ(28.7%)、銅鉱山-56,000万ペソ(17.9%)、クロム鉱・鉄鉱(合計)4,000万ペソ(1.6%)。政府はまた、鉱物保留区域内における鉱物資源の開発・利用から約94,024万ペソのロイヤルティを徴収した。大統領令(PD)463号及び共和国法(RA)7942号に基づき、採掘鉱物の総生産高の市場価値の5%以上が政府へのロイヤルティとして帰属する。

 フィリピンの金属鉱物生産 上半期の比較(生産額:百万ペソ)
品目 単位 2024年 2025年 伸び率(%)
生産量 生産額 生産量 生産額
kg 13,652 54,805 14,493 79,815 6.2 45.6
kg 23,239 1,139 24,038 1,392 3.4 22.3
銅精鉱 DMT 142,051 13,273 120,389 13,714 -15.2 3.3
ニッケル直接船積鉱石 DMT 15,921,230 27,023 12,115,904 21,812 -23.9 -19.3
ニッケル・コバルト混合硫化物 DMT 39,459 20,304 38,515 18,017 -2.4 -11.3
スカンジウム・オキサラート Dry-kg 5,542 90 2,420 40 -56.3 -55.6
クロム鉄鉱 DMT 73,013 1,039 45,943 578 -37.1 -44.3
鉄鉱石 DMT 31,798 105 76,354 249 140.1 137.0
合計 - - 117,777 - 135,618 - 15.1
(出所:MGB資料より作成、DMT:ドライメトリック トン、MT:メトリック トン)