三菱UFJ銀行、フィリピンの事業基盤拡充進展

消費者金融の比ホームクレジット、融資残高1千億ペソへ

2025/09/12

 フィリピン最大級の消費者金融会社であるHCコンシューマー ファイナンス フィリピン(HCPH、通称ホームクレジット・フィリピン)の業容が順調に拡大している。

 HCPHは現在、三菱UFJ銀行が約77%出資している連結子会社であるタイのアユタヤ銀行と、三菱UFJ銀行が20%出資しているフィリピンの有力拡大商業銀行セキュリティバンク(証券コード:SECB)との合弁企業となっている。HCPHは、分割払い融資、現金貸付、リボルビングクレジット、保険や保証サービスなどを含む多様な金融商品を提供している。

 HCPHは、911日に開かれた記者説明会において、現在の融資残高は約850億ペソに達し、2024年末の約740億ペソから着実に増加していると説明、今年中に前年末比33%増の1,000億ペソを突破と期待していると表明した。顧客数は現在約1,220万人、前年から大きく拡大している。さらに、製品提供のための提携店舗数も昨年末の約16,000店から約18,000店に増加している。営業担当者数も約1万人に達しており、これによりパートナー店舗とあわせて、HCPHの金融サービスの利用拡大に寄与している。

 三菱UFJ銀行とその傘下のアユタヤ銀行は、20236月、国際消費者金融プロバイダーであるオランダのホームクレジット社(HC)の子会社であったHCPHの全株式取得を完了した。取得総額は40,600万ユーロ(600億円)、この時点でのHCPHの直接保有比率はアユタヤ銀行75%、三菱UFJ銀行25%となった。2025年には、セキュリティーバンクが、三菱UFJ銀行からHCPH株式25%を約116億ペソで取得した。
 
 引き続きHCPH75%を保有するタイのアユタヤ銀行は、HCPHの過半数株主としての立場を維持する。すなわち、三菱UFJ銀行とアユタヤ銀行が20236月に取得したHCPH株式100%のうち三菱UFJ銀行保有の25%が今回SECBに売却されたのである。SECBも三菱UFJ銀行の関連会社であり、三菱UFJ銀行グループ内の玉移動とも考えられる。

 なお、三菱UFJ銀行グループは20164月のセキュリティバンクへの20%出資、上記のHCPH買収などフィリピン事業基盤を強化、拡充している。20252月には、フィリピンNo.1の金融スーパーアプリであり、最大のデジタルキャッシュレスエコシステムであるGCash(Gキャッシュ)を運営するグローブ フィンテック イノベーションズ(Mynt)への8%出資(633億円)を完了している。