住友商事、MRT3号線の保守業務を2年間延長へ

2025/09/14

 フィリピン運輸省(DOTr)は、マニラ首都圏鉄道3号線(MRT3号線)のフィリピン運輸省(DOTr)は、マニラ首都圏の都市鉄道「MRT-3」の改修・保守業務について、202510月に終了する住友商事との契約を2年間延長することで合意した。

 この契約にはMRT3号線のシステム改修、部品交換、修繕、運行の安定性確保が含まれている。安全で信頼性の高い鉄道システムの整備を指示したマルコス大統領の方針に沿った動きである。正式な発効には両国の追加承認が必要となるが、2年間の契約延長により、利用者は効率的で便利な鉄道サービス、障害や故障の減少、移動時間の短縮といった恩恵を受けられると期待される。

 MRT3号線は、マニラの主要幹線道路であるエドサ通り沿いを走る都市鉄道。日本企業による初の海外都市鉄道建設プロジェクトとして、三菱重工グループと住友商事が、高架構造物、駅、軌道、信号、通信、変電設備、架線、車両基地、電車を含む全長16.9キロメートル都市交通システム一式を建設した。ノース・アベニュー駅(ケソン市)からタフト・アベニュー駅(パサイ市)までの13駅を結んでいる。2000年の全線開業後、約25年にわたりマニラ市民の重要移動手段として活用されている。

MRT3号線のメンテナンス事業>
 全線が開業した2000年から三菱重工グループと住友商事が改修・保守契約を請け負っていたが、その契約が終了した2012年以降は、システムの老朽化や予備品調達の停滞などの事由により運行編成数が減少し、システムの稼働率が著しく低下していた。DOTrからの要請を受け、2019年に再び、三菱重工グループと住友商事が改修および保守事業を受注し、日本政府による円借款供与のサポートも得て、稼働率が低下した車両や都市交通設備一式を通常運行を妨げることなく大規模改修した。

 20232月までに全72両の解体検査を完了し、運行速度は時速30キロメートルから時速60キロメートルに、営業投入編成数は1015編成から1820編成に改善、同路線の稼働率向上と安全かつ安定した運行が可能な路線への復旧を実現した。また、大規模改修完了後も高い稼働率を維持するための保守事業を202510月までの契約で継続してきた。今回の合意により、契約はさらに2年間延長される。