第2四半期の住宅価格、7.5%上昇(前期7.6%)
コンドミニアム0.2%下落、戸建類13.1%上昇と対照的
2025/09/28
フィリピン中央銀行(BSP)が9月26日に発表した2025年第2四半期(4~6月)の住宅不動産価格指数(RPPI)によると、全国の住宅価格は前年同期比7.5%上昇した。上昇ペースはやや鈍化したものの、首都圏(NCR)以外の地域(AONCR、地方)の堅調な伸びが全体を押し上げた。前期比では4.2%の上昇となった。
地域別では、NCRが前年同期比2.4%上昇と、前期の13.9%から大幅に減速。前期比でも3.6%下落し、マイナス成長に転じた。これに対し、AONCR(地方)は前年同期比11.5%上昇と、前期の3.0%から大幅に加速。前期比でも10.5%上昇し、プラス成長を記録した。
地方の内訳では、グレーター・マニラ地域外(ブラカン州、カビテ州、ラグナ州、リサール州)が前年同期比13.2%上昇と最も高く、セブ都市圏が11.5%、ミンダナオ都市圏が7.7%で続いた。その他地域(GMA外、セブ、ミンダナオを除く)も8.8%上昇と、前期の1.1%から伸びを加速させた。
住宅タイプ別では、全国平均でコンドミニアム価格が前年同期比0.2%下落し、前期の10.6%上昇からマイナスに転じた。一方、戸建住宅類(アパート、タウンハウス、2戸連棟住宅を含む)は13.1%上昇と、前期の4.5%から加速。前期比でも10.3%上昇し、コンドミニアムの2.8%下落を補った。コンドミニアムの伸び鈍化は主にNCRでの取引減が影響しており、同地域のコンドミニアム価格は前年同期比2.2%下落(前期は14.2%上昇)、前期比でも5.4%下落した。
フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
(出所:BSP資料より作成)
地方における住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年第1四半期=100)
(出所:BSP資料より作成)
【住宅ローン(RREL)の動向:全国で1.9%減少】
2025年第2四半期における全国の住宅不動産融資件数は前年同期比14.7%増の9,367件となった。地域別では、首都圏(NCR)が10.3%増の2,672件で全体の28.5%を占め、地方(AONCR)は16.6%増の6,695件で71.5%を占めた。地方の内訳では、グレーター・マニラ地域外が22.5%増と最も高い伸びを示し、セブ都市圏が18.7%増、ミンダナオ都市圏が12.9%増、その他地域が4.3%増だった。
住宅タイプ別では、コンドミニアム向け融資が前年同期比39.8%増の3,707件(シェア39.6%)と大きく拡大し、前期の2.6%増から加速した。NCRで29.8%増、地方では60.8%増と地方が大幅に伸びた。一方、戸建住宅類向け融資は2.7%増の5,660件(シェア60.4%)となり、前期の4.4%減からプラスに転じた。ただし、NCRは45.6%減と急減し、前期の7.5%減から下げ幅を拡大。これが全体の伸びを抑える一因となった。地方は8.9%増と前期の4.2%減から回復し、NCRの落ち込みを補った。
地域別の融資件数シェアは、カラバルソン(シェア33.2%)、NCR(28.5%)、中央ルソン(11.9%)、中央ビサヤ(8.8%)、西ビサヤ(6.6%)、ダバオ(4.2%)、北ミンダナオ(2.3%)の順となっている。
全住宅タイプへの融資件数の変化
(出所:BSP資料より作成)
【住宅価格の中央値:全国で340万6,000ペソ】
2025年第2四半期の住宅価格の全国中央値は340万5,847ペソとなった。住宅タイプ別では、コンドミニアムが380万7,373ペソ、戸建住宅類が313万7,700ペソだった。首都圏(NCR)の中央値は460万6,440ペソと全国を大きく上回り、住宅タイプ別では戸建住宅類が701万1,900ペソ、コンドミニアムが427万5,163ペソに達した。
【住宅不動産価格指数(RPPI)の住宅タイプ別構成比】
2025年第2四半期の総合指数を算出する際、NCRのコンドミニアムが30.6%と最も大きなウエイトを持った。次いで、グレーター・マニラ地域外(Balance GMA)の戸建住宅類が28.6%を占めたが、2025年に入って同区分の比率はわずかに低下している。これに対し、NCRとその他地域の戸建住宅類は、それぞれ10.9%および10.5%のシェアを記録した。結果として、これら4つの区分だけで総指数ウエイトの80.6%を占めており、全国の住宅市場における主要な価格動向を左右する構成となっている。
【地域区分】
・首都圏(NCR):メトロマニラ全域
・地方(AONCR):NCRを除いた全地域
・グレーター・マニラ地域(GMA):NCR+ブラカン、カビテ、ラグナ、リサール等周辺4州を指す区分
・GMA外(Balance GMA):ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州を指す区分。
・その他地域:AONCRからGMA、セブ・ミンダナオ都市圏を除いた全国の残りの地域を指す区分
地域別では、NCRが前年同期比2.4%上昇と、前期の13.9%から大幅に減速。前期比でも3.6%下落し、マイナス成長に転じた。これに対し、AONCR(地方)は前年同期比11.5%上昇と、前期の3.0%から大幅に加速。前期比でも10.5%上昇し、プラス成長を記録した。
地方の内訳では、グレーター・マニラ地域外(ブラカン州、カビテ州、ラグナ州、リサール州)が前年同期比13.2%上昇と最も高く、セブ都市圏が11.5%、ミンダナオ都市圏が7.7%で続いた。その他地域(GMA外、セブ、ミンダナオを除く)も8.8%上昇と、前期の1.1%から伸びを加速させた。
住宅タイプ別では、全国平均でコンドミニアム価格が前年同期比0.2%下落し、前期の10.6%上昇からマイナスに転じた。一方、戸建住宅類(アパート、タウンハウス、2戸連棟住宅を含む)は13.1%上昇と、前期の4.5%から加速。前期比でも10.3%上昇し、コンドミニアムの2.8%下落を補った。コンドミニアムの伸び鈍化は主にNCRでの取引減が影響しており、同地域のコンドミニアム価格は前年同期比2.2%下落(前期は14.2%上昇)、前期比でも5.4%下落した。
フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
年・時期 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 | |||||||||
Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | |
全国 | |||||||||||||
前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 9.6 | 13.9 | 12.9 | 10.1 | 10.5 | 7.3 | 3.2 | 7.4 | 7.9 | 7.6 | 9.8 | 7.6 | 7.5 |
コンドミニアム | 10.1 | 19.2 | 16.3 | 7.3 | 7.8 | 6.5 | -1.5 | 7.3 | 11.5 | 4.8 | 9.5 | 10.6 | -0.2 |
戸建住宅類 | 9.8 | 7.2 | 8.7 | 13.6 | 13.6 | 9.0 | 6.4 | 7.4 | 5.4 | 9.4 | 9.9 | 4.5 | 13.1 |
前期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 3.4 | 4.8 | 1.0 | 0.6 | 3.8 | 1.8 | -2.9 | 4.7 | 4.3 | 1.5 | -1.0 | 2.6 | 4.2 |
コンドミニアム | 3.1 | 4.6 | -0.4 | -0.1 | 3.7 | 3.3 | -7.9 | 8.8 | 7.7 | -2.9 | -3.7 | 9.9 | -2.8 |
戸建住宅類 | 3.8 | 5.1 | 2.9 | 1.1 | 3.9 | 0.8 | 0.4 | 2.1 | 1.9 | 4.7 | 0.9 | -2.9 | 10.3 |
マニラ首都圏(NCR) | |||||||||||||
前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 10.1 | 18.5 | 17.1 | 8.0 | 8.9 | 5.0 | -1.9 | 6.1 | 9.3 | 7.2 | 12.3 | 13.9 | 2.4 |
コンドミニアム | 9.8 | 19.2 | 17.3 | 6.0 | 6.2 | 5.3 | -4.8 | 6.6 | 13.7 | 5.3 | 11.9 | 14.2 | -2.2 |
戸建住宅類 | 15.3 | 14.5 | 16.1 | 16.6 | 19.6 | 5.8 | 4.5 | 4.3 | -2.0 | 11.0 | 13.3 | 11.2 | 14.3 |
前期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 3.2 | 4.9 | 0.2 | -0.5 | 4.1 | 1.1 | -6.4 | 7.6 | 7.2 | -0.8 | -2.0 | 9.2 | -3.6 |
コンドミニアム | 3.3 | 4.2 | -0.3 | -1.2 | 3.5 | 3.3 | -9.9 | 10.5 | 10.5 | -4.3 | -4.2 | 12.8 | -5.4 |
戸建住宅類 | 2.9 | 9.0 | 2.7 | 1.3 | 5.5 | -3.5 | 1.4 | 1.0 | -0.9 | 9.2 | 3.5 | -0.9 | 1.9 |
地方(NCR以外の地域) | |||||||||||||
前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 9.9 | 8.7 | 8.1 | 12.3 | 12.2 | 9.7 | 7.4 | 8.7 | 7.2 | 8.1 | 8.0 | 3.0 | 11.5 |
コンドミニアム | 13.6 | 20.6 | 12.3 | 11.9 | 13.8 | 10.3 | 10.0 | 10.3 | 5.5 | 4.0 | 3.1 | 1.8 | 6.2 |
戸建住宅類 | 8.6 | 5.5 | 6.9 | 12.8 | 12.1 | 10.0 | 6.9 | 8.3 | 7.5 | 9.0 | 9.1 | 2.9 | 12.6 |
前期比上昇率(%) | |||||||||||||
全住宅 | 3.7 | 4.7 | 2.0 | 1.5 | 3.5 | 2.3 | -0.1 | 2.7 | 2.1 | 3.2 | -0.2 | -2.1 | 10.5 |
コンドミニアム | 2.5 | 6.3 | -1.1 | 3.9 | 4.2 | 3.0 | -1.3 | 4.2 | -0.4 | 1.6 | -2.2 | 2.9 | 4.0 |
戸建住宅類 | 4.1 | 4.2 | 3.0 | 1.0 | 3.4 | 2.2 | 0.1 | 2.4 | 2.6 | 3.6 | 0.2 | -3.4 | 12.3 |
地方における住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年第1四半期=100)
地域 | 前年同期比増減率(%) | 前期比増減率(%) | ||||
24年Q2 | 25年Q1 | 25年Q2 | 24年Q2 | 25年Q1 | 25年Q2 | |
その他地域 | 3.8 | 1.1 | 8.8 | 2.4 | -4.2 | 10.2 |
グレーター・マニラ地域外 | 8.9 | 3.8 | 13.2 | 2.5 | -1.5 | 11.7 |
セブ都市圏 | 11.8 | -1.7 | 11.5 | -1.2 | -1.0 | 12.2 |
ミンダナオ都市圏 | -1.6 | 7.6 | 7.7 | 1.8 | -1.3 | 1.9 |
【住宅ローン(RREL)の動向:全国で1.9%減少】
2025年第2四半期における全国の住宅不動産融資件数は前年同期比14.7%増の9,367件となった。地域別では、首都圏(NCR)が10.3%増の2,672件で全体の28.5%を占め、地方(AONCR)は16.6%増の6,695件で71.5%を占めた。地方の内訳では、グレーター・マニラ地域外が22.5%増と最も高い伸びを示し、セブ都市圏が18.7%増、ミンダナオ都市圏が12.9%増、その他地域が4.3%増だった。
住宅タイプ別では、コンドミニアム向け融資が前年同期比39.8%増の3,707件(シェア39.6%)と大きく拡大し、前期の2.6%増から加速した。NCRで29.8%増、地方では60.8%増と地方が大幅に伸びた。一方、戸建住宅類向け融資は2.7%増の5,660件(シェア60.4%)となり、前期の4.4%減からプラスに転じた。ただし、NCRは45.6%減と急減し、前期の7.5%減から下げ幅を拡大。これが全体の伸びを抑える一因となった。地方は8.9%増と前期の4.2%減から回復し、NCRの落ち込みを補った。
地域別の融資件数シェアは、カラバルソン(シェア33.2%)、NCR(28.5%)、中央ルソン(11.9%)、中央ビサヤ(8.8%)、西ビサヤ(6.6%)、ダバオ(4.2%)、北ミンダナオ(2.3%)の順となっている。
全住宅タイプへの融資件数の変化
地域 | 年間増減率(%) | 前期比増減率(%) | ||||
24年Q2 | 25年Q1 | 25年Q2 | 24年Q2 | 25年Q1 | 25年Q2 | |
全国 | -3.2 | -1.9 | 14.7 | -9.9 | -21.7 | 5.4 |
マニラ首都圏(NCR) | -0.9 | 2.0 | 10.3 | 1.4 | -33.4 | 9.7 |
地方(AONCR) | -4.2 | -3.3 | 16.6 | -14.0 | -16.2 | 3.8 |
その他地域 | 1.2 | -2.2 | 4.3 | -11.1 | -8.1 | -5.1 |
GMA外(周辺4州) | -10.9 | -11.1 | 22.5 | -19.1 | -21.3 | 11.4 |
セブ都市圏 | 7.0 | 50.1 | 18.7 | 18.1 | 3.9 | -6.6 |
ミンダナオ都市圏 | 20.6 | 0.8 | 12.9 | -14.6 | -23.6 | -4.4 |
【住宅価格の中央値:全国で340万6,000ペソ】
2025年第2四半期の住宅価格の全国中央値は340万5,847ペソとなった。住宅タイプ別では、コンドミニアムが380万7,373ペソ、戸建住宅類が313万7,700ペソだった。首都圏(NCR)の中央値は460万6,440ペソと全国を大きく上回り、住宅タイプ別では戸建住宅類が701万1,900ペソ、コンドミニアムが427万5,163ペソに達した。
【住宅不動産価格指数(RPPI)の住宅タイプ別構成比】
2025年第2四半期の総合指数を算出する際、NCRのコンドミニアムが30.6%と最も大きなウエイトを持った。次いで、グレーター・マニラ地域外(Balance GMA)の戸建住宅類が28.6%を占めたが、2025年に入って同区分の比率はわずかに低下している。これに対し、NCRとその他地域の戸建住宅類は、それぞれ10.9%および10.5%のシェアを記録した。結果として、これら4つの区分だけで総指数ウエイトの80.6%を占めており、全国の住宅市場における主要な価格動向を左右する構成となっている。
【地域区分】
・首都圏(NCR):メトロマニラ全域
・地方(AONCR):NCRを除いた全地域
・グレーター・マニラ地域(GMA):NCR+ブラカン、カビテ、ラグナ、リサール等周辺4州を指す区分
・GMA外(Balance GMA):ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州を指す区分。
・その他地域:AONCRからGMA、セブ・ミンダナオ都市圏を除いた全国の残りの地域を指す区分