10月7日に9月のインフレ率発表、直前予想中間値は1.9%

7カ月ぶり高水準の可能性、10月9日の金融政策会合に影響も

2025/10/06

 統計庁(PSA)は、107日午前9時、20259月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。

 現地有力経済紙であるビジネスワールド紙(BW)が先週実施した民間エコノミスト12名による20259月の総合消費者物価上昇率(総合インフレ率、前年同月比、2018年基準)に関する直前予想の中間値は1.9%。予想最高は2.5%、最低は1.7%であった。中間値の1.9%となれば、前年同月と同水準、2カ月連続で加速、20252月の2.1%以来7カ月ぶりの高水準となる。もっとも、政府の年間目標2%~4%の下限以下ではある。

 民間エコノミストは、悪天候の影響による果物、野菜、魚類の価格上昇、電力料金の値上げ、国内燃料価格の高止まり、ペソ安などがインフレ上昇圧力となったと見ている。しかし、コメ価格の継続的な低下がインフレ上昇圧力を一部相殺したと分析している。

 一方、フィリピン中央銀行(BSP)101日、「20259月の総合消費者物価上昇率は1.5%2.3%の範囲内であったと推定している」と発表した。この推定レンジの中間値は1.9%であり、上記の民間エコノミスト予想の中間値と一致する。BSP予想の上限の2.3%ならば、20251月の2.9%以来8カ月ぶりの高水準となる。

 なおBSPの最高政策決定機関である金融委員会(MB)は、828日開催の今年4回目のMB定例会合において、3会合連続で政策金利体系の0.25%引き下げを決定した。すなわち、主要政策金利であるリバース・レポ(RRP)金利誘導目標5.00%を中心とする翌日物預入金利4.50%~翌日物貸出金利5.50%というコリドーに移行されることになった。

 この利下げ決定により、20248月に始まった利下げサイクルで合計6回の利下げが決定された。2024815日、1016日、1219日、2025410日、619日そして829日のそれぞれ0.25%、合計1.50%の利下げとなった。

 これまで109日開催予定の今年5回目のMB定例会合において、更なる0.25%の追加利下げが決定されるとの見方が優勢であった。しかし、9月のインフレ率の加速ピッチが強まっているようならば、利下げ一時停止の可能性があるとの見方が増えている。

 総合インフレ率とコアインフレ率の推移(2018年基準、平均値ベース)
21年 22年 23年 24年 25年1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
総合インフレ 3.9% 5.8% 6.0% 3.2% 2.9% 2.1% 1.8% 1.4% 1.3% 1.4% 0.9% 1.5%
コアインフレ 3.0% 3.9% 6.6% 3.0% 2.6% 2.4% 2.2% 2.2% 2.2% 2.2% 2.3% 2.7%
 (出所:フィリピン統計庁資料より作成)