8月の失業率3.9%、季節要因等で前月5.3%から急低下

前年同月から小幅低下、失業者203万人で若年層比率76%

2025/10/09

 フィリピン統計庁(PSA)108日、20258月の労働力調査結果(速報値)を発表した。それによると、20258月の失業率は3.9%となり、前年同月の4.0%、前月の5.3%を下回った。前月比急低下は主に季節要因といえる。7月は卒業シーズンでかなりの新卒者が一時的に失業者としてカウントされ、失業者数が増加、失業率が上昇しがちである。今年の7月は悪天候も重なり失業率は211カ月ぶりの高水準となった。それとの比較では8月の失業率は急低下した。

 20258月の15歳以上の人口は前年同月比1.4%増の8,013万人、労働力人口は同1.8%増の5,213万人。労働参加率は65.1%で、前年同月(64.8%)から上昇した。

 8月の失業者数は203万人で、前年同月の207万人から1.8%減少した。前月の259万人からは21.6%減少した。前月比急減は、上記のように主に季節要因である。8月野失業者を年齢層でみると、15-24歳が全体の38.6%25-34歳が37.2%、すなわち若年層(15歳~34)が全体の75.8%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は24.9%(卒業者は19.1%)、大学進学・卒業者が49.8%(卒業者は39.1%)だった。性別では、男性57.3%、女性42.7%と男性が上回っている。

 8月の就業者数は前年同月比1.9%増の5,010人。業種別では、農業部門が20.4%(前年同月19.3%)、鉱工業部門が18.1%(17.5%)、サービス部門が61.5%(63.3%)だった。サブセクター別で雇用者数が最も多かった上位3セクターは、卸売・小売業/自動車・オートバイ修理業、農林業、建設業。また、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、建設業、水産・養殖業、管理・支援サービス業、農林業、その他のサービス業。一方、年間で最も減少した上位5業種は、卸売・小売業/自動車・オートバイ修理業、行政・国防・義務的社会保障事業、教育サービス業、保健衛生・社会事業、不動産業。

 賃金・給与労働者は就業者全体の64.4%(前年同月62.7%)、従業員を雇用していない個人事業主は27.0%(28.2%)、無給の家族労働者は7.0%(6.8%)、家族経営の農場または事業に従事する雇用主は1.6%(2.4%)だった。賃金・給与労働者の中で民間企業労働者の占める割合は78.0%(就業者全体では50.3%)、政府系企業社員・公務員は14.1%(9.1%)だった。8月の週平均労働時間は41.0時間(前年同月40.7時間)。フルタイム就業者(40時間以上勤務)は就業者全体の69.4%(69.2%)だった。

 就業者5,010万人のうち不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者)の数は前年同月比1.9%減の538万人。不完全就業率は10.7%で前年同月(11.2%)を下回った。なお、不完全就労者の61.4%(前年同月50.5%)が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 24年8月 25年7月 25年8月
15歳以上人口(単位:千人) 79,040 80,088 80,126
労働力参加率(%) 64.8 60.7 65.1
失業率(%) 4.0 5.3 3.9
不完全就業率(%) 11.2 14.8 10.7
週平均労働時間(h) 40.7 42.0 41.0
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2024年7月以外は速報値)

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)

全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.4 12.3
2024年 64.4 3.8 11.9
 
2025年 1月 63.9 4.3 13.3
2月 64.5 3.8 10.1
3月 62.9 3.9 13.4
4月 63.7 4.1 14.6
5月 65.8 3.9 13.1
6月 65.7 3.7 11.4
7月 60.7 5.3 14.8
8月 65.1 3.9 10.7
 
2025年1-8月 64.0 4.1 12.7
(出所:PSA資料より作成、24-25年は速報値)