丸紅出資のマイニラッドのIPO、1株15ペソと決定

最大343億ペソの案件に、11月7日上場予定、今年2社目

2025/10/21

 マニラ首都圏西半分などをサービスエリアとして水道や下水処理サービスの提供しているマイニラッド ウォーター サービス(マイニラッド)は、2025117日にフィリピン証券取引所(PSE)へ新規上場する予定である。今年2社目のIPO(新規公募)・新規上場案件となる。当初は717日に新規上場と想定していたが、1030日へと延期、そして再延期された。

 マイニラッドは、202112月に25年間の事業権延長を承認された際に、事業権延長付与から5年以内(20271月期限)に発行済株式の少なくとも30%の公開を義務付けられた。したがって、2026年末までにIPOPSE新規上場を完了する必要がある。

 新規上場に際してのIPO(新規公募)1023日~29日に実施される。当初、IPO株数は最大で約228,897万株(追加オプション分含む)1株当たりIPO上限価格は20ペソ、したがって、最大調達額は約458億ペソと想定された。しかし、1020日にIPO価格は15ペソと決定された、当初想定の上限価格である20ペソよりは25%低い水準。したがって、IPO総額も最大で3433,455万ペソであり、当初の想定上限に比べ25%縮小する。それでも、PSEでは大型案件といえる。なお、PSEでの証券コードは「MYNLD」と決定されている。
 
 マイニラッドは、マニラ首都圏上下水道事業民営化におけるフィリピン政府・MWSSとの民間委託契約(コンセッション契約)に基づき、マニラ首都圏の西地区全17市区などをサービスエリアとして、浄水や下水処理サービスの提供、上下水道管路網の維持管理、検針や料金徴収までを含むフルコンセッション事業を行っている。サービスエリア内の人口は、フィリピンの人口のおよそ一割に相当する1千万人超であり、単一コンセッション契約に基づく民間水道事業としては、サービスエリア内の人口において世界最大規模である。
 
 現在マイニラッドは、フィリピンの有力コングロマリットであるメトロ パシフィック インベストメンツ、DMCIホールディングス(証券コード:DMC)、丸紅との合弁企業となっている。出資比率はMPI52.8%DMCIホールディングス25.3%、丸紅20%である。丸紅は2013年に、20%の間接出資を行っている。

 なお、フィリピン証券取引所(PSE)のにおける新規上場社数は、20147社、2015年から2017年までは各々4社、2018年は1社のみ、2019年と2020年も4社のみであった。2021年は8社、そして、2022年は10(うち1社はIPOを経ないイントロダクション方式での上場、IPO9)へと増加したが、2023年は3社にとどまった。2024年についても3社でPSEの目標6社を下回った。
 
 2025年についても年初9カ月間でのIPO・新規上場は僅か1社。セブを拠点とする石油製品販売企業であるトップライン ビジネスデベロップメント(トップライン:証券コード:TOP)324日~31日にIPOを実施、4月8日にPSEに新規上場したのみである。
 
 一方、7月に2社が上場廃止、住宅開発企業である8990ホールディングス(証券コード:HOUSE)も、20251029日付けでの自主的上場廃止意向である。2025年は上場廃止企業数が、新規上場数を上回る可能性もある。このような状況下で、2025年9月末の上場企業数は282社で、2024年末から1社純減となった。

 フィリピン証券取引所(PSE)上場企業数などの推移
2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 2024年 2025年9月
新規上場企業数 4 4 8 10 3 3 1
上場廃止企業数 2 1 3 0 6 3 2
年末上場企業数 268 271 276 286 283 283 282
(出所:PSE資料などより作成)