JAXA、セブ・ミンダナオ地震対応を迅速支援

「だいち2号」で被害状況を早期把握、データ提供

2025/10/24

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)23日、フィリピンで9月末と10月に発生した地震に対し、人工衛星「だいち2(ALOS-2)」による緊急観測を実施したと発表した。国際防災協力枠組み「センチネルアジア」を通じて被災地域の状況を迅速に把握し、フィリピン当局にデータを提供したもので、日本の宇宙技術がASEAN域内の防災体制強化に貢献している。

 観測対象は、930日に発生したセブ島北部沖のマグニチュード6.9地震と、1010日のミンダナオ島南部沖のマグニチュード7.4地震。JAXAはフィリピン火山地震研究所(Phivolcs)と鉱山地球科学局(MGB)の要請を受け、102日と16日に「だいち2号」で緊急観測を実施した。観測データはシンガポール南洋理工大学(EOS)が解析し、建物被害の可能性を色分けした「被害推定マップ」として発災から約3日で提供された。

 センチネルアジアは、宇宙技術を活用して災害対応に貢献する国際プロジェクトで、JAXAが事務局を務める。現在、アジア太平洋地域の127機関が加盟し、地震・洪水・火山活動などの衛星データを共有している。

 「だいち2号」はJAXAが保有・運用する地球観測衛星で、雲や夜間でも地表の変化を捉えられるLバンド合成開口レーダー(SAR)を搭載。地盤変動や建物被害を高精度に把握できることから、災害対応や復旧計画の基礎データとして期待されている。JAXAは「今後もセンチネルアジアを通じ、国際連携による災害リスク低減に努める」としている。