10カ月間の株価9.2%下落、アジアで最悪のパフォーマンス
汚職や政治的抗争など響く、ベトナムの約30%上昇などと対照的
2025/11/04
   2025年10月のフィリピン株式市場は引き続き軟調な展開となった。代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の10月最終取引日(30日)の終値は5,929.68ポイントで、9月末から0.40%下落した。10月も治水事業での汚職騒動、景気や企業業績減速観測、新規の買い材料不足等で続落。月末終値は、4月7日の5,822.85ポイント以来約7カ月ぶりの安値へと下落した。10月の終値ベースでの最高値は3日の6,108.86ポイントであった。
2025年1~10月(10カ月間)では、PSEiは9.18%下落した。10カ月間の終値ベースでの最高値は1月6日の6,625.17ポイント、最安値は4月7日の5,822.85ポイント。上記のような汚職問題やマルコス陣営とドゥテルテ陣営の対立激化、南シナ海での中国からの圧力、米国トランプ政権の関税や金融政策への懸念、景気や対外収支悪化、外国人売り越しなどにより下落が続いた。
なお、10月末の終値は、2020年2月のフィリピンでのコロナパンデミック発生時の7,000台、2019年終値の7,815.26ポイントを大幅に下回る水準であり、いまだにコロナパンデミック前を大幅に下回る水準である。10カ月間の動向は以下の通り。
<資源株が63%上昇、不動産株は9%下落>
10カ月間の大分類セクター別指数の動きは、鉱業・石油株(資源株、+62.94%)、サービス産業株(+8.78%)が上昇し、持株会社株(-14.55%)、金融株(-9.07%)、不動産株(-8.90%)、工業株(-4.74%)は下落した。資源株は金市況の急騰、サービス産業株は上半期のオンラインゲーミング株の急騰が寄与した。金利敏感セクターの代表格である不動産株は、2024年まで年間ベースで5年連続下落を続けてきたが、2025年も軟調に推移しており6年連続での下落の可能性がある。
<外国人の売買シェア45%、471億ペソの売り越しに>
10カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比17.4%増の72億ペソ。外国人の売買額シェアは45%(前年同期46%)、外国人は471億ペソの売り越し(前年同期65億ペソの買い越し)。10カ月間の外国人の買い越し日は78営業日(25年1月は4営業日、2月は6営業日、3月は14営業日、4月は7営業日、5月は8営業日、6月は7営業日、7月は11営業日、8月は9営業日、9月は7営業日、10月は5営業日)。
<時価総額6.3%減の19兆ペソ、国内企業は14兆ペソ>
2025年10月末のPSE時価総額は前年同月末比6.3%減の18兆9,770億ペソ、そのうち国内企業時価総額は同8.5%減の14兆0,646億ペソだった。なお、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は9.91倍となり、前年同月末の13.44倍から低下した。
<10カ月間の下落率、アジアのなかで最悪に>
PSEiの10カ月間の下落率9.18%は、アジア市場で最大級のの落ち込み、すなわち、最悪のパフォーマンスである。日本の31%上昇(速報による手元計算、以下同様)、韓国の約76%上昇、中国本土の約2.8%上昇、台湾の約23%上昇、インドの約9%上昇などとは対照的な大幅下落となっている。ASEAN市場での比較においても、ベトナムの約29%上昇、シンガポールの約17%上昇、インドネシアの約15%上昇、マレーシアの約1.4%下落。タイの約6.5%下落の後塵を拝している。なお、過去10年間の下落率も約18%で、世界主要市場のなかで最悪と報じられている。
PSE指数(PSEi)の推移(年末値/月末価)
	
		
(出所:PSE資料より作成)
PSEセクター別株価指数上昇率
	
		
(出所:PSE資料より作成)
市場動向の推移(年末・年間値)
	
		
(出所:PSE資料より作成)
2025年1~10月(10カ月間)では、PSEiは9.18%下落した。10カ月間の終値ベースでの最高値は1月6日の6,625.17ポイント、最安値は4月7日の5,822.85ポイント。上記のような汚職問題やマルコス陣営とドゥテルテ陣営の対立激化、南シナ海での中国からの圧力、米国トランプ政権の関税や金融政策への懸念、景気や対外収支悪化、外国人売り越しなどにより下落が続いた。
なお、10月末の終値は、2020年2月のフィリピンでのコロナパンデミック発生時の7,000台、2019年終値の7,815.26ポイントを大幅に下回る水準であり、いまだにコロナパンデミック前を大幅に下回る水準である。10カ月間の動向は以下の通り。
<資源株が63%上昇、不動産株は9%下落>
10カ月間の大分類セクター別指数の動きは、鉱業・石油株(資源株、+62.94%)、サービス産業株(+8.78%)が上昇し、持株会社株(-14.55%)、金融株(-9.07%)、不動産株(-8.90%)、工業株(-4.74%)は下落した。資源株は金市況の急騰、サービス産業株は上半期のオンラインゲーミング株の急騰が寄与した。金利敏感セクターの代表格である不動産株は、2024年まで年間ベースで5年連続下落を続けてきたが、2025年も軟調に推移しており6年連続での下落の可能性がある。
<外国人の売買シェア45%、471億ペソの売り越しに>
10カ月間の1日当たり平均売買額は前年同期比17.4%増の72億ペソ。外国人の売買額シェアは45%(前年同期46%)、外国人は471億ペソの売り越し(前年同期65億ペソの買い越し)。10カ月間の外国人の買い越し日は78営業日(25年1月は4営業日、2月は6営業日、3月は14営業日、4月は7営業日、5月は8営業日、6月は7営業日、7月は11営業日、8月は9営業日、9月は7営業日、10月は5営業日)。
<時価総額6.3%減の19兆ペソ、国内企業は14兆ペソ>
2025年10月末のPSE時価総額は前年同月末比6.3%減の18兆9,770億ペソ、そのうち国内企業時価総額は同8.5%減の14兆0,646億ペソだった。なお、PSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は9.91倍となり、前年同月末の13.44倍から低下した。
<10カ月間の下落率、アジアのなかで最悪に>
PSEiの10カ月間の下落率9.18%は、アジア市場で最大級のの落ち込み、すなわち、最悪のパフォーマンスである。日本の31%上昇(速報による手元計算、以下同様)、韓国の約76%上昇、中国本土の約2.8%上昇、台湾の約23%上昇、インドの約9%上昇などとは対照的な大幅下落となっている。ASEAN市場での比較においても、ベトナムの約29%上昇、シンガポールの約17%上昇、インドネシアの約15%上昇、マレーシアの約1.4%下落。タイの約6.5%下落の後塵を拝している。なお、過去10年間の下落率も約18%で、世界主要市場のなかで最悪と報じられている。
PSE指数(PSEi)の推移(年末値/月末価)
| 時期 | 年末・月末値 | 上昇率 | 
| 2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% | 
| 2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% | 
| 2014年 | 7,230.57ポイント | 22.76% | 
| 2015年 | 6,952.08ポイント | -3.85% | 
| 2016年 | 6,840.64ポイント | -1.60% | 
| 2017年 | 8,558.42ポイント | 25.11% | 
| 2018年 | 7,466.02ポイント | -12.76% | 
| 2019年 | 7,815.26ポイント | 4.68% | 
| 2020年 | 7,139.71ポイント | -8.64% | 
| 2021年 | 7,122.63ポイント | -0.24% | 
| 2022年 | 6,566.39ポイント | -7.81% | 
| 2023年 | 6,450.04ポイント | -1.77% | 
| 2024年 | 6,528.79ポイント | 1.22% | 
| 2025年 1月末 | 5,862.59ポイント | -10.20% | 
| 2月末 | 5,997.97ポイント | 2.31% | 
| 3月末 | 6,180.72ポイント | 3.05% | 
| 4月末 | 6,354.99ポイント | 2.82% | 
| 5月末 | 6,341.53ポイント | -0.22% | 
| 6月末 | 6,364.94ポイント | 0.37% | 
| 7月末 | 6,252.73ポイント | -1.76% | 
| 8月末 | 6,155.57ポイント | -1.55% | 
| 9月末 | 5,953.46ポイント | -3.28% | 
| 10月末 | 5,929.68ポイント | -0.40% | 
| 2025年 1-10月 | - | -9.18% | 
PSEセクター別株価指数上昇率
| 項目 | 21年 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年10カ月間 | 25年10月末指数 | 
| PSE指数 | -0.24% | -7.81% | -1.77% | 1.22% | -9.18% | 5,929.68 | 
| 全株指数 | -10.64% | -9.33% | -1.08% | 9.46% | -4.14% | 3,593.28 | 
| 金融株指数 | 10.95% | 2.42% | 5.71% | 24.08% | -9.07% | 1,961.93 | 
| 工業株指数 | 10.76% | -10.12% | -2.94% | 2.56% | -4.74% | 8,867.22 | 
| 持株会社株指数 | -7.44% | -5.49% | -5.09% | -7.63% | -14.55% | 4,819.45 | 
| 不動産株指数 | -12.14% | -9.04% | -2.52% | -16.73% | -8.90% | 2,165.73 | 
| サービス業株指数 | 31.19% | -17.73% | -1.79% | 29.70% | 8.78% | 2,264.50 | 
| 鉱業・石油株指数 | 0.77% | 12.57% | -7.48% | -21.71% | 62.94% | 12,757.68 | 
市場動向の推移(年末・年間値)
| 項目 | 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 25年10月末 | 
| PSE指数 | 7,139.71 | 7,122.63 | 6,566.39 | 6,450.04 | 6,528.79 | 5,929.68 | 
| 年末時価総額(億ペソ) | 158,889 | 180,811 | 165,585 | 167,402 | 200,076 | 189,770 | 
| 国内企業時価総額(億ペソ) | 130,994 | 145,637 | 132,818 | 130,968 | 145,665 | 14,0646 | 
| 外国企業時価総額(億ペソ) | 27,895 | 35,174 | 32,767 | 36,434 | 54,411 | 49,124 | 
| 1日平均売買額(億ペソ) | 73 | 90 | 73 | 61 | 61 | 72 | 
| 外国人の売買額シェア | 45% | 36% | 41% | 44% | 46% | 45% | 
| 外国人買越額(億ペソ) | -1,287 | -23 | -679 | -537 | -231 | -471 | 
| PER(株価収益率) | 24.88倍 | 22.84倍 | 14.51倍 | 13.23倍 | 11.96倍 | 9.91倍 | 




