9月の失業率3.8%、季節要因で2カ月連続改善

前年同月3.7%からは悪化、失業者3%増の196万人

2025/11/07

 フィリピン統計庁(PSA)116日、20259月の労働力調査結果(速報値)を発表した。それによると、20259月の失業率は3.8%となり、前月の3.9%、前々月の5.3%から2カ月連続で改善した。ただし、この改善は季節的要因といえる。7月は卒業シーズンでかなりの新卒者が一時的に失業者としてカウントされ、失業者数が増加、失業率が上昇しがちである。9月は年末の商戦に向けて雇用が増加しはじめる。季節的要因が関係しない前年同月の3.7%からは僅かであるが悪化している。

 20259月の15歳以上の人口は前年同月比1.5%増の7,998万人、労働力人口は同0.4%減の5,156万人。労働参加率は64.5%で、前年同月(65.7%)を下回った。

 9月の失業者数は196万人で、前年同月(189万人)から3.3%増加した。失業者を年齢層でみると、15-24歳が全体の37.9%25-34歳が35.6%、すなわち若年層(15歳~34)が全体の73.5%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は27.9%(卒業者は22.6%)、大学進学・卒業者が49.3%(卒業者は38.3%)だった。性別では、男性56.2%、女性43.8%と男性が上回っている。

 就業者数は前年同月比0.5%減の4,960人。業種別では、農業部門が20.9%(前年同月19.9%)、鉱工業部門が17.8%(17.3%)、サービス部門が61.3(62.8%)だった。サブセクター別で雇用者数が最も多かった上位3セクターは、卸売・小売業(自動車・オートバイ修理業含む)、建設業、農林業。また、年間の雇用者増加の多かった上位5業種は、建設業、水産・養殖業、宿泊・飲食サービス業、医療・社会事業、農林業。一方、年間で最も減少した上位5業種は、その他サービス業、管理・支援サービス業、製造業、運輸・倉庫業、行政・国防・義務的社会保障事業。

 賃金・給与労働者は就業者全体の64.1%(前年同月63.9%)、従業員を雇用していない個人事業主は27.6%(27.5%)、無給の家族労働者は6.6%(6.6%)、家族経営の農場または事業に従事する雇用主は1.7%(2.0%)だった。賃金・給与労働者の中で民間企業労働者の占める割合は78.7%(就業者全体では50.5%)、政府系企業社員・公務員は14.5%(9.3%)だった。9月の週平均労働時間は40.5時間(前年同月40.3時間)。フルタイム就業者(40時間以上勤務)は就業者全体の68.9%(67.8%)だった。

 就業者4,960万人のうち不完全就業者(職に就いているが調査期間中に働いていなかったり、労働時間が報告されていない就業者)の数は前年同月比7.1%減の552万人。不完全就業率は11.1%で前年同月(11.9%)を下回った。なお、不完全就労者の57.0%(前年同月52.3%)が労働時間週40時間以下だった。

 フィリピン労働力調査(LFS)
項目 24年9月 25年8月 25年9月
15歳以上人口(単位:千人) 78,800 80,126 79,983
労働力参加率(%) 65.7 65.1 64.5
失業率(%) 3.7 3.9 3.8
不完全就業率(%) 11.9 10.7 11.1
週平均労働時間(h) 40.3 41.0 40.5
(出所:フィリピン統計庁資料より作成、2024年9月以外は速報値)

 フィリピンの失業率等の比較(単位:%)

全国 労働参加率 失業率 不完全就業率
2019年 61.3 5.1 13.8
2020年 59.5 10.3 16.2
2021年 63.3 7.8 15.9
2022年 64.7 5.4 14.2
2023年 64.9 4.4 12.3
2024年 64.4 3.8 11.9
 
2025年 1月 63.9 4.3 13.3
2月 64.5 3.8 10.1
3月 62.9 3.9 13.4
4月 63.7 4.1 14.6
5月 65.8 3.9 13.1
6月 65.7 3.7 11.4
7月 60.7 5.3 14.8
8月 65.1 3.9 10.7
9月 64.5 3.8 11.1
 
2025年1-9月 64.1 4.1 12.5
(出所:PSA資料より作成、24-25年は速報値)