三井住友銀行、RCBCに約170億円追加出資

保有比率24.46%へ上昇、ユーチェンコ財閥との連携強化

2025/12/23

 三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)および三井住友銀行(本店:東京都千代田区)は、1222日、フィリピンの有力拡大商業銀行であるリサール商業銀行(RCBC、証券コード:RCB)の普通株式持分4.46%を総額約64億ペソ(170億円)で追加取得したと発表した。今回の取得により、三井住友銀行のRCBC普通株式持分は合計24.46%となる。

 SMBCグループは、中長期的な目線でアジアの成長を捕捉する戦略として、マルチフランチャイズ戦略に取り組んでいる。重要国のひとつと位置付けるフィリピンにおいては、20216月の4.99%出資を皮切りにRCBCを地場のパートナーとして提携を開始し、20237月には出資比率を20.00%に引き上げて三井住友フィナンシャルグループおよび三井住友銀行の持分法適用会社とする等、関係を深化させてきた。

 RCBCは日系企業とも数多くの提携実績のある大手財閥ユーチェンコ・グループの中核企業であり、現地銀行の中でも最大規模で展開するジャパンデスク事業に加え、デジタルバンキング・ESG等の分野においてもフィリピン国内外で高い評価を受ける地場主要銀行である。

 提携開始以降、ホールセール金融からリテール金融までの幅広い事業領域で協働を進め、相互理解を深めるとともに、一体となって顧客へサービスを提供してきた。その過程において、RCBCが引き続き中長期的に高い成長ポテンシャルを有し、協働によるさらなるシナジー実現が見込めることを確認できたため、提携の一層の強化を目的とし、出資比率の拡大を図ることとした。

 株式追加取得により、RCBCSMBCグループの関係を一段と深化させ、フィリピンでの事業拡大を目指すSMBCグループの顧客へ、よりきめ細かなサポート体制の構築を実現していくとともに、フィリピンの金融業界全体のさらなる発展への貢献と、SMBCグループとしての同国における成長戦略の一層の強化を図っていく。

 なお、RCBCの業績は堅調に推移している。下表のとおり、20259カ月間の純収入は前年同期比24%増の468億ペソ、純金利収入は同32%増の408億ペソ、純利益は同32%増の82億ペソと二桁増収増益であった。また、9月末の総資産は13,147億ペソで、民間銀行で第5位となっている。

 1.フィリピン民間上位銀行の2025年9月末の資産等の状況(単位:億ペソ)
行名 総資産 純資産 CAR 預金残高 融資残高
BDOユニバンク 52,680 6,271 15.6% 41,065 35,820
メトロバンク 36,330 4,076 17.0% 24,588 18,617
BPI 34,728 4,748 15.8% 26,774 23,601
チャイナバンク 17,292 1,843 15.9% 14,153 9,724
RCBC 13,147 1,487 14.2% 9,970 7,747
PNB 12,491 2,301 20.8% 9,495 6,785
ユニオンバンク 11,446 1,988 15.9% 7,081 5,217
セキュリティバンク 11,420 1,532 13.6% 9,011 6,720
(出所:各銀行の事業報告書などより、注:CAR-自己資本比率は対リスク資産)

 2.フィリピン民間上位銀行の2025年9カ月間の収益動向(単位:億ペソ、純利益は帰属ベース)
銀行名 純収入 伸び率 純金利収入 伸び率 純利益 伸び率 純金利率 ROE
BDOユニバンク 2,074 10% 1,500 8% 631 4% 4.3% 14.1%
メトロバンク 1,172 7% 918 7% 373 4% 3.7% 12.5%
BPI 1,423 13% 1,091 16% 505 5% 4.6% 15.0%
チャイナバンク 566 22% 535 15% 202 10% 4.6% 15.3%
RCBC 468 24% 408 32% 82 32% 4.7% 6.9%
PNB 478 8% 393 8% 184 23% 4.7% 11.0%
ユニオンバンク 605 7% 475 12% 64 -24% 6.4% 4.3%
セキュリティバンク 488 22% 372 15% 91 7% 4.7% 8.2%
合計 7,274 12% 5,692 12% 2,132 6% - -
(出所:各銀行の事業報告書などより)