第3四半期の住宅価格上昇率、2020年以降で最低
1.9%に鈍化(前期7.5%)、戸建住宅1.9%(同13.1%)
2025/12/29
フィリピン中央銀行(BSP)が12月26日に発表した2025年第3四半期(7~9月)の住宅不動産価格指数(RPPI)によると、全国の住宅価格指数は前年同期比1.9%の上昇にとどまり、2020年第1四半期以降で最も低い伸びとなった。前期比では3.8%下落し、3四半期ぶりにマイナスへ転じた。
地域別では、マニラ首都圏(NCR)が前年同期比2.3%上昇と、前期の2.4%からわずかに減速。前期比では0.8%下落した。一方、地方(NCR以外の地域=AONCR)は前年同期比1.6%上昇と、前期の11.5%上昇から大幅に鈍化し、前期比では5.9%の下落となった。
AONCRの内訳を見ると、ミンダナオ都市圏が前年同期比5.5%上昇、セブ都市圏が同3.8%上昇、NCRを除く大マニラ圏(ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州)が同2.2%上昇と、いずれも住宅価格指数はプラスを維持したものの、いずれも前期の伸びからは減速した。一方、その他地域(GMA、セブ、ミンダナオを除く)は同2.1%下落し、マイナスに転じた。
住宅タイプ別では、全国の戸建住宅(アパート、タウンハウス、2戸連棟住宅を含む)の住宅価格指数が前年同期比1.9%上昇と、2020年第1四半期以降で最低水準の伸びにとどまった。一方、コンドミニアムの住宅価格指数は同1.4%上昇し、前期の0.2%下落からプラスに転じたが、前期比では1.4%下落した。NCRでは戸建住宅の住宅価格指数が前年同期比5.8%上昇したものの伸びは鈍化。コンドミニアムの住宅価格指数は同0.8%上昇し、前期のマイナスからプラスへ転じた。
フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
(出所:BSP資料より作成)
地方(AONCR)における住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
(出所:BSP資料より作成)
【住宅不動産融資(RREL)動向】
2025年第3四半期の全国の住宅不動産関連融資(RREL)件数は前年同期比24.6%増の1万0,912件となった。地域別では、マニラ首都圏(NCR)が同8.2%増の2,865件で全体の26.3%を占め、地方(AONCR)は同31.7%増の8,047件で73.7%を占めた。AONCRの内訳では、NCRを除く大マニラ圏(ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州)が同47.8%増の4,954件と大きく伸びたほか、その他地域が13.9%増の1,801件、セブ都市圏が11.0%増の705件、ミンダナオ都市圏が8.3%増の587件だった。
住宅タイプ別では、全国のコンドミニアム向け融資件数が前年同期比50.8%増の4,926件(シェア45.1%)と大幅に増加し、前期の39.8%増から伸びが加速した。地域別では、NCRが同10.2%増、AONCRが同140.2%増と、地方の伸びが際立った。一方、戸建住宅向け融資は同9.0%増の5,986件(シェア54.9%)。地域別では、NCRが同3.3%減、AONCRが同10.0%増だった。
地域別の融資件数シェアは、カラバルソンが37.1%で最大となり、これにNCR(26.3%)、中央ルソン(11.8%)、中央ビサヤ(7.7%)、西ビサヤ(5.8%)、ダバオ(3.4%)、北ミンダナオ(2.2%)が続いた。
全住宅への融資件数の変化
(出所:BSP資料より作成)
【住宅価格の中央値】
2025年第3四半期の全国の住宅価格中央値は346万2,235ペソとなった。住宅タイプ別では、コンドミニアムが346万9,830ペソ、戸建住宅が329万2,100ペソだった。地域別では、NCRの中央値が500万ペソと全国水準を大きく上回った。タイプ別ではNCRの戸建住宅の中央値が736万5,600ペソ、コンドミニアムの471万9,518ペソを大きく上回った。一方、NCRとセブ都市圏を除く地域ではコンドミニアムが戸建住宅を上回った。
【住宅不動産価格指数(RPPI)の住宅タイプ別構成比】
2025年の全国RPPIに占める住宅タイプ別構成比は、戸建住宅が57.0%、コンドミニアムが43.0%。地域別では、1) NCR:戸建住宅10.9%、コンドミニアム30.6% 2) NCRを除く大マニラ圏:戸建住宅28.6%、コンドミニアム4.3% 3) フィリピンのその他地域:戸建住宅10.5%、コンドミニアム2.7% 4) セブ都市圏:戸建住宅3.3%、コンドミニアム3.3% 4) ミンダナオ都市圏:戸建住宅3.7%、コンドミニアム2.1%。
【地域区分】
・首都圏(NCR):メトロマニラ全域
・地方(AONCR):NCRを除く全地域
・大マニラ圏(GMA):NCR+ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州
・NCRを除く大マニラ圏(Balance GMA):ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州
・その他地域:AONCRからGMAおよびセブ・ミンダナオ都市圏を除いた地域
地域別では、マニラ首都圏(NCR)が前年同期比2.3%上昇と、前期の2.4%からわずかに減速。前期比では0.8%下落した。一方、地方(NCR以外の地域=AONCR)は前年同期比1.6%上昇と、前期の11.5%上昇から大幅に鈍化し、前期比では5.9%の下落となった。
AONCRの内訳を見ると、ミンダナオ都市圏が前年同期比5.5%上昇、セブ都市圏が同3.8%上昇、NCRを除く大マニラ圏(ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州)が同2.2%上昇と、いずれも住宅価格指数はプラスを維持したものの、いずれも前期の伸びからは減速した。一方、その他地域(GMA、セブ、ミンダナオを除く)は同2.1%下落し、マイナスに転じた。
住宅タイプ別では、全国の戸建住宅(アパート、タウンハウス、2戸連棟住宅を含む)の住宅価格指数が前年同期比1.9%上昇と、2020年第1四半期以降で最低水準の伸びにとどまった。一方、コンドミニアムの住宅価格指数は同1.4%上昇し、前期の0.2%下落からプラスに転じたが、前期比では1.4%下落した。NCRでは戸建住宅の住宅価格指数が前年同期比5.8%上昇したものの伸びは鈍化。コンドミニアムの住宅価格指数は同0.8%上昇し、前期のマイナスからプラスへ転じた。
フィリピン住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
| 年・時期 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 | |||||||||
| Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | Q4 | Q1 | Q2 | Q3 | |
| 全国 | |||||||||||||
| 前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 13.9 | 12.9 | 10.1 | 10.5 | 7.3 | 3.2 | 7.4 | 7.9 | 7.6 | 9.8 | 7.6 | 7.5 | 1.9 |
| コンドミニアム | 19.2 | 16.3 | 7.3 | 7.8 | 6.5 | -1.5 | 7.3 | 11.5 | 4.8 | 9.5 | 10.6 | -0.2 | 1.4 |
| 戸建住宅 | 7.2 | 8.7 | 13.6 | 13.6 | 9.0 | 6.4 | 7.4 | 5.4 | 9.4 | 9.9 | 4.5 | 13.1 | 1.9 |
| 前期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 4.8 | 1.0 | 0.6 | 3.8 | 1.8 | -2.9 | 4.7 | 4.3 | 1.5 | -1.0 | 2.6 | 4.2 | -3.8 |
| コンドミニアム | 4.6 | -0.4 | -0.1 | 3.7 | 3.3 | -7.9 | 8.8 | 7.7 | -2.9 | -3.7 | 9.9 | -2.8 | -1.4 |
| 戸建住宅 | 5.1 | 2.9 | 1.1 | 3.9 | 0.8 | 0.4 | 2.1 | 1.9 | 4.7 | 0.9 | -2.9 | 10.3 | -5.7 |
| マニラ首都圏(NCR) | |||||||||||||
| 前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 18.5 | 17.1 | 8.0 | 8.9 | 5.0 | -1.9 | 6.1 | 9.3 | 7.2 | 12.3 | 13.9 | 2.4 | 2.3 |
| コンドミニアム | 19.2 | 17.3 | 6.0 | 6.2 | 5.3 | -4.8 | 6.6 | 13.7 | 5.3 | 11.9 | 14.2 | -2.2 | 0.8 |
| 戸建住宅 | 14.5 | 16.1 | 16.6 | 19.6 | 5.8 | 4.5 | 4.3 | -2.0 | 11.0 | 13.3 | 11.2 | 14.3 | 5.8 |
| 前期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 4.9 | 0.2 | -0.5 | 4.1 | 1.1 | -6.4 | 7.6 | 7.2 | -0.8 | -2.0 | 9.2 | -3.6 | -0.8 |
| コンドミニアム | 4.2 | -0.3 | -1.2 | 3.5 | 3.3 | -9.9 | 10.5 | 10.5 | -4.3 | -4.2 | 12.8 | -5.4 | -1.4 |
| 戸建住宅 | 9.0 | 2.7 | 1.3 | 5.5 | -3.5 | 1.4 | 1.0 | -0.9 | 9.2 | 3.5 | -0.9 | 1.9 | 1.1 |
| 地方(NCR以外の地域) | |||||||||||||
| 前年同期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 8.7 | 8.1 | 12.3 | 12.2 | 9.7 | 7.4 | 8.7 | 7.2 | 8.1 | 8.0 | 3.0 | 11.5 | 1.6 |
| コンドミニアム | 20.6 | 12.3 | 11.9 | 13.8 | 10.3 | 10.0 | 10.3 | 5.5 | 4.0 | 3.1 | 1.8 | 6.2 | 3.2 |
| 戸建住宅 | 5.5 | 6.9 | 12.8 | 12.1 | 10.0 | 6.9 | 8.3 | 7.5 | 9.0 | 9.1 | 2.9 | 12.6 | 1.0 |
| 前期比上昇率(%) | |||||||||||||
| 全住宅 | 4.7 | 2.0 | 1.5 | 3.5 | 2.3 | -0.1 | 2.7 | 2.1 | 3.2 | -0.2 | -2.1 | 10.5 | -5.9 |
| コンドミニアム | 6.3 | -1.1 | 3.9 | 4.2 | 3.0 | -1.3 | 4.2 | -0.4 | 1.6 | -2.2 | 2.9 | 4.0 | -1.3 |
| 戸建住宅 | 4.2 | 3.0 | 1.0 | 3.4 | 2.2 | 0.1 | 2.4 | 2.6 | 3.6 | 0.2 | -3.4 | 12.3 | -7.1 |
地方(AONCR)における住宅不動産価格指数の上昇率推移 (2019年=100)
| 地域 | 前年同期比増減率(%) | 前期比増減率(%) | ||||
| 24年Q3 | 25年Q2 | 25年Q3 | 24年Q3 | 25年Q2 | 25年Q3 | |
| その他地域 | 5.6 | 8.8 | -2.1 | 4.0 | 10.2 | -6.4 |
| NCRを除く大マニラ圏 | 10.4 | 13.2 | 2.2 | 3.9 | 11.7 | -6.1 |
| セブ都市圏 | 7.2 | 11.5 | 3.8 | -1.1 | 12.2 | -8.0 |
| ミンダナオ都市圏 | -0.6 | 7.7 | 5.5 | 1.2 | 1.9 | -0.9 |
【住宅不動産融資(RREL)動向】
2025年第3四半期の全国の住宅不動産関連融資(RREL)件数は前年同期比24.6%増の1万0,912件となった。地域別では、マニラ首都圏(NCR)が同8.2%増の2,865件で全体の26.3%を占め、地方(AONCR)は同31.7%増の8,047件で73.7%を占めた。AONCRの内訳では、NCRを除く大マニラ圏(ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州)が同47.8%増の4,954件と大きく伸びたほか、その他地域が13.9%増の1,801件、セブ都市圏が11.0%増の705件、ミンダナオ都市圏が8.3%増の587件だった。
住宅タイプ別では、全国のコンドミニアム向け融資件数が前年同期比50.8%増の4,926件(シェア45.1%)と大幅に増加し、前期の39.8%増から伸びが加速した。地域別では、NCRが同10.2%増、AONCRが同140.2%増と、地方の伸びが際立った。一方、戸建住宅向け融資は同9.0%増の5,986件(シェア54.9%)。地域別では、NCRが同3.3%減、AONCRが同10.0%増だった。
地域別の融資件数シェアは、カラバルソンが37.1%で最大となり、これにNCR(26.3%)、中央ルソン(11.8%)、中央ビサヤ(7.7%)、西ビサヤ(5.8%)、ダバオ(3.4%)、北ミンダナオ(2.2%)が続いた。
全住宅への融資件数の変化
| 地域 | 年間増減率(%) | 前期比増減率(%) | ||||
| 24年Q3 | 25年Q2 | 25年Q3 | 24年Q3 | 25年Q2 | 25年Q3 | |
| 全国 | -15.1 | 14.7 | 24.6 | 7.3 | 5.4 | 16.5 |
| コンドミニアム | -12.8 | 39.8 | 50.8 | 23.2 | 14.8 | 32.9 |
| 戸建住宅 | -16.5 | 2.7 | 9.0 | -0.4 | - | 5.8 |
| マニラ首都圏(NCR) | -19.2 | 10.3 | 8.2 | 9.3 | 9.7 | 7.2 |
| 地方(AONCR) | -13.2 | 16.6 | 31.7 | 6.4 | 3.8 | 20.2 |
| その他地域 | -15.6 | 4.3 | 13.9 | 7.8 | -5.1 | 17.7 |
| NCR除く大マニラ圏 | -18.8 | 22.5 | 47.8 | 5.1 | 11.4 | 26.9 |
| セブ都市圏 | 20.3 | 18.7 | 11.0 | 9.1 | -6.6 | 2.0 |
| ミンダナオ都市圏 | 5.7 | 12.9 | 8.3 | 7.5 | -4.4 | 3.2 |
【住宅価格の中央値】
2025年第3四半期の全国の住宅価格中央値は346万2,235ペソとなった。住宅タイプ別では、コンドミニアムが346万9,830ペソ、戸建住宅が329万2,100ペソだった。地域別では、NCRの中央値が500万ペソと全国水準を大きく上回った。タイプ別ではNCRの戸建住宅の中央値が736万5,600ペソ、コンドミニアムの471万9,518ペソを大きく上回った。一方、NCRとセブ都市圏を除く地域ではコンドミニアムが戸建住宅を上回った。
【住宅不動産価格指数(RPPI)の住宅タイプ別構成比】
2025年の全国RPPIに占める住宅タイプ別構成比は、戸建住宅が57.0%、コンドミニアムが43.0%。地域別では、1) NCR:戸建住宅10.9%、コンドミニアム30.6% 2) NCRを除く大マニラ圏:戸建住宅28.6%、コンドミニアム4.3% 3) フィリピンのその他地域:戸建住宅10.5%、コンドミニアム2.7% 4) セブ都市圏:戸建住宅3.3%、コンドミニアム3.3% 4) ミンダナオ都市圏:戸建住宅3.7%、コンドミニアム2.1%。
【地域区分】
・首都圏(NCR):メトロマニラ全域
・地方(AONCR):NCRを除く全地域
・大マニラ圏(GMA):NCR+ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州
・NCRを除く大マニラ圏(Balance GMA):ブラカン、カビテ、ラグナ、リサールの4州
・その他地域:AONCRからGMAおよびセブ・ミンダナオ都市圏を除いた地域




