グリーンカーボン、シェルと水田メタン削減で協働

JCM活用し農業由来クレジット創出、比ミンドロ島で展開

2026/01/10

  カーボンクレジット創出・販売事業を手がけるGreen Carbon(本社:東京都千代田区)は 、1月8日、シェルのlフィリピン現地法人のシェル イースタントレ-ディング社(シェル)と協働し、フィリピン・ミンドロ島の水田におけるメタン排出削減プロジェクトを推進すると発表した。

 この取り組みはJCM(二国間クレジット制度)を活用し、測定可能な気候変動対策の効果を提供することを目指している。JCMは、日本とパートナー国が協働して温室効果ガス(GHG)削減に取り組み、その成果として生じる環境価値を共有する国際的な枠組みである。この方法は、日本が掲げる2030年以降の大幅な排出削減目標を支援するものである。

 これまで主にエネルギー分野に焦点が当てられてきたJCMは、現在、カーボンクレジット創出において未開拓の可能性を持つ農業分野へと対象を拡大している。その中でも、フィリピンにおける革新的なプロジェクトは、農業分野におけるJCMクレジット創出のモデル確立を目指す取り組みとなっている。

 農業分野は、フィリピンにおける脱炭素化の重要な最前線であり、国全体の温室効果ガス(GHG)排出量の約25%(約5,400万トンCO₂換算)を占めている。なかでも水稲栽培は、その大部分を占める主要な要因である。水田から排出されるメタンは農業由来排出量の半分以上を占めると特定されており、気候対策の高い効果が期待できる重点領域と位置付けられている。

 こうした背景のもと、今回のプロジェクトでは、「間断かんがい(AWD」技術を導入し、水田におけるメタン排出削減を推進する。この技術は、フィリピン政府との協力により、JCMにおけるクレジット創出手法として効果が正式に認められている実証済みの技術である。

 今回のプロジェクトは、「水田における水管理によるメタン排出削減」(PH_AM004)方法論に基づいて実施される。この方法論の開発は、アジア開発銀行(ADB)と、日本の農林水産省(MAFF)の協力により構成された専門委員会によって進められ、2025年2月3日、フィリピンと日本のJCM合同委員会により承認された。

 AWD技術は、メタン発生量が多い連続湛水から脱却し、栽培期間を通して水位を適切に管理しながら乾湿を繰り返すことで、水田からのメタン発生を効果的に抑制する。その結果、約30%のメタン排出削減効果が見込まれており、農業分野における実効性の高い排出削減手法として注目されている。

 グリーンカーボンとシェルの協業は、ミンドロ島の5万ヘクタールを対象にAWD技術を導入することに焦点を当てている。グリーンカーボンは技術設計および現地農家との連携を主導し、シェルは持続可能な事業運営を拡大するための投資を行う。両者は協力してJCMクレジットの発行を実現し、商業化に向けた明確なロードマップを構築することを目指している。

 市場価値の設計者であるグリーンカーボンは、森林保全からバイオ炭まで、東南アジア全域にわたる自然由来の資産を幅広く展開しており、今回の協業において重要な役割を担っている。フィリピンでは技術リードとして、2025年2月に承認された最新のJCM方法論に基づくプロジェクトの構築を主導している。また、これらの取り組みを、JCMクレジットを企業のオフセット手段として受け入れる日本のGX-ETS(グリーントランスフォーメーション排出量取引制度)と連携させることで、フィリピン農業と日本市場を結び付け、長期的な経済性の確保に貢献していく。

 シェルはJCM方法論に基づき開発される高品質なクレジットの市場アクセスを促進し、プロジェクトの早期展開を後押しする資金面での支援を行う。この両社のパートナーシップは、気候変動対策と農村地域の発展に対する共通の取り組みを示すものである。双方のリソースと専門性を組み合わせることで、農業分野の脱炭素化を推進するとともに、成果が測定できるかたちで環境の再生を実現していく。