インフレ目標、2020年まで「2.0%~4.0%」継続
2016/12/23
開発予算調整委員会(DBCC)は、12月20日の会議において、既に設定されている2017~18年のインフレ目標3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)を維持することを承認した。そして、2019年と2020年のインフレ目標を3.0%±1.0%(2.0%~4.0%)とすることを決定した。
DBCCは政府の経済関係部署の横断機関であり、マクロ経済目標決定の役割を担っている。インフレ目標は中央銀行金融委員会の方針に沿って、DBCCが最終決定することになっている。
下表のとおり、フィリピンのインフレ率実績は、2009年から2014年まで6年連続でインフレ目標内に納まった。2015年は9月と10月に各々史上最低の0.4%を記録するなど急低下、年間平均も1.4%にとどまり、インフレ目標の下限以下となった。2016年も平均で1.8%程度となり、2年連続でインフレ目標の下限以下となりそうである。
しかし、2016年11月のインフレ率は2.5%(速報値)となり、前月(2.3%)から0.2%ポイント上昇、前年同月(1.1%)からは1.4%ポイント上昇した。そして、2012年2月の2.5%以来、21カ月ぶりの高水準となった。中央銀行は、2017年以降はインフレ目標2~4%内に収斂していくと予想している。
年 | 09年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17~20年 |
インフレ目標 | 2.5~4.5% | 3.5~5.5% | 3.0~5.0% | 3.0~5.0% | 3.0~5.0% | 3.0~5.0% | 2.0~4.0% | 2.0~4.0% | 2.0~4.0% |
インフレ率実績 | 3.2% | 3.8% | 4.6% | 3.2% | 3.0% | 4.1% | 1.4% | 1.8%(予) | - |
フィリピンでは、金融政策を導く基本的枠組みとして、インフレ目標が2002年から正式に導入された。インフレ目標が比較的シンプルな枠組みであり国民にも分かりやすい、中央銀行の重要使命である物価安定に集中しやすい、インフレ目標を発表しそれを基準とした金 融政策を履行することは金融政策に関する透明性や国民からの信頼性を高めるなどから、フィリピン政府はインフレ目標導入に踏み切ったのである。
なお、インフレ率予想(Forecast)とインフレ目標 (Target)が混同されることが多いが、両者は異なるものである。予想は単純な見通しであり環境が変化すればその都度変更されるものである。インフレ目標(Target)は金融政策の基本的枠組みであり、それを基準として各種政策が決定されるものであり、頻繁に変更されるものではない(16年12月22日のフィリピン中央銀行ニュースリリースより)。