ペソ対米ドルレート、2016年は5.4%の続落
終値49.72ペソ、年末値では11年ぶりのペソ安
4年連続でのペソ下落、一時は50ペソ台に
2017/01/03
PDS(フィ リピン・ディーリング・システム)におけるペソ対米ドルレートは、2016年末値(12月29日終値)が1米ドル=49.720ぺソとなり、2015年末の47.060ペソから5.35%下落した。すなわち、年間で5.35%の下落となった。
49.720ぺソという2016年の終値は、年末値ベースでは2005年の53.090ペソ以来、11年ぶりのペソ安水準である。また、2013年以降4年連続のペソ下落となった。この4年間でペソは17.44%の下落となっている。
2016年のペソ対米ドルレートは、後半にペソ下落ピッチが加速した。6月~7月にかけての新政権祝賀ムードが希薄化したこと、ドゥテルテ大統領の扇情的な発言や強硬的との印象を与える運営スタイルや手法に対する懸念が高まりそれらが好調な経済に水を差すのではという観測が拡がったことに加え、11月には米国トランプ新大統領の政策に関しての思惑で米国市中長期金利が上昇したことやFRBによる利上げの動きに伴う世界的なドル高、株式市場での継続的な外人売りを背景に、ペソ売り圧力が一段と強まった。
マクロ経済指標に関しては、11月に発表された2016年第3四半期(7月~9月)GDP成長率が7.1%、9カ月間でも7.0%とアジア主要国で最高水準であったが、ペソ安に歯止めをかけるには至らなかった。むしろ、経常収支の黒字急減(9カ月間で74%減の16億2,100万米ドル)や、財政赤字急拡大(11カ月間で約5倍の2,352億ペソ)がペソ安の動きを強めている感がある。このような状況下で、11月24日には一時、2006年10月以来約10年ぶりの50ペソ台に下落した。
2017年に関しては、好調なフィリピン経済などを背景にペソが買い戻される場面もありそうだ。その一方、経常収支や財政収支の悪化などが相場形成に影響を及ぼす可能性があることから、ペソが急反発する可能性は薄いとの見方が支配的となっている。
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2004年 | 56.280ペソ | -1.39% |
2005年 | 53.090ペソ | 6.01% |
2006年 | 49.030ペソ | 8.28% |
2007年 | 41.280ペソ | 18.77% |
2008年 | 47.520ペソ | -13.13% |
2009年 | 46.200ペソ | 2.86% |
2010年 | 43.840ペソ | 5.38% |
2011年 | 43.840ペソ | 0.00% |
2012年 | 41.050ペソ | 6.80% |
2013年 | 44.395ペソ | -7.53% |
2014年 | 44.720ペソ | -0.73% |
2015年 | 47.060ペソ | -4.97% |
2016年 | 49.720ペソ | -5.35% |
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