11月のOFW送金18.5%増、8年ぶりの高い伸び
11カ月間のOFW送金合計、5.1%増の269億ドル
うち銀行経由分は5.2%増の243億ドルに

2017/01/17

 フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2016年11月のOFWからの銀行経由による本国現金送金額は22億1,700万米ドルで、前年同月(18億7,100万米ドル)から18.5%増加、2008年7月(24.6%増)以来、約8年ぶりの大幅な伸びとなった。

 また、16年年初11カ月間(1月~11月)の累計は前年同期比5.2%増の243億4,100万米ドルであった。そのうち、陸上ベースのOFWからの送金額は7.8%増の192億7,200万米ドル、海上ベースのOFWからは3.6%減の50億6,900万米ドルであった。 なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比5.3%増の80億6,700万米ドル(シェア33.1%)、2位サウジアラビアの6.5%減の23億9,700万米ドル(9.8%)、3位アラブ首長国連邦(UAE)の6.8%増の19億3,800万米ドル(8.0%)、4位シンガポールの11.1%増の15億0,600万米ドル(6.2%)、5位英国の6.9%減の12億8,200万米ドル(5.3%)、6位日本の10.6%増の12億3,500万米ドル(5.1%)、7位カタールの51.2%増の9億4,700万米ドル(3.9%)、8位クウェートの46.1%増の7億8,200万米ドル(3.2%)、9位香港の15.7%減の6億9,500万米ドル(2.9%)、10位ドイツの2.5%増の6億4,200万米ドル(2.6%)など。

 

OFWからの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%)
項目 年間推移 1 - 11月
10年 11年 12年 13年 14年 15年 15年 16年 伸び率
送金額 18,763 20,117 21,391 22,984 24,628 25,607 23,137 24,341 5.2
日本から 883 914 1,010 904 976 1,313 1,116 1,235 10.6
((出所:フィリピン中央銀行資料より作成、参考:11月の日本からのOFW送金額は前月比2.9%増の1億1,500万米ドル)


月別OFWからの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%)
15年 16年
11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
送金額 1,871 2,470 1,997 2,098 2,362 2,213 2,188 2,334 2,131 2,319 2,383 2,099 2,217
対前年同月伸率 -6.2 4.9 3.6 8.4 -1.4 6.9 5.8 4.8 -5.4 16.3 6.7 -3.0 18.5
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)

 また、国際通貨基金(IMF)の「国際収支国際投資ポジションマニュアル」(BPM第6版)に準拠した包括的OFW送金データ(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与含む)によると、11月の包括的OFW送金額は前年同月比18.4%増の24億4,800万米ドル、11カ月間累計では前年同期比5.1%増の268億8,300万米ドルと増加した。当然のことながら、従来からの公表データである銀行経由分のみの送金額を上回っている。

 テタンコBSP総裁は、熟練OFWに対する根強い需要に加え、継続的な銀行・ノンバンク系送金機関のネットワーク拡大や送金市場における金融商品の革新等が送金流入の増加に寄与していると説明した(17年1月16日のフィリピン中央銀行発表などより)。

 

包括的OFW送金額(単位:百万米ドル、伸び率:%)
項目 年間推移 1-11月
10年 11年 12年 13年 14年 15年 15年 16年 伸び率
送金額 20,563 21,922 23,352 25,369 27,273 28,483 25,582 26,883 5.1
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


月別包括的OFW送金額推移(単位:百万米ドル、伸び率:%)
15年 16年
11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月
送金額 2,068 2,726 2,208 2,320 2,606 2,443 2,416 2,575 2,355 2,559 2,626 2,326 2,448
対前年同月伸率 -6.2 4.9 3.4 8.3 -1.4 6.6 5.7 4.8 -5.4 16.0 6.3 -2.8 18.4
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)