比セブンイレブン好調、純利益17%増の12億ペソ

16年末1,995店に、1年間で393店(25%)増加

2017/04/05

  フィリピンでもコンビニエンス・ストアが普及期を迎え、マニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセ ブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、 2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。 

 首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2016年末現在)するフィリピン・セブ ン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2015年末には1602店に達し、フィリピンでのブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%を 誇っている。このPSCは1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 2016年もセブンイレブンの店舗数が順調に増加した。1年間で410店をオープン、17店を閉鎖した、この結果、2016年末の店舗数は1,995店に達し、2015年末の1,602店から393店、率にして24.5%%の純増となっている。最近は地方へも積極進出している。1,995店の地域別内訳はルソン地域1,633店(うちマニラ首都圏808店)、セブを中心とするビサヤ地域255店、ダバオを中心とするミンダナオ地域107店となっている。また自営店が45%、55%がフランチャイズ店となっている。

 その後の店舗数の推移はまだ公表されていないが、2017年3月8日、マニラ首都圏マカティ市の中心に立地する「LVロクシン・ビル」に2,000店目となる店舗がオープンした。2016年に400店純増させ2016年末に2,000店体制構築という目標よりは若干遅れたものの、2千店体制を実現、このところ店舗数の減少が続くミニストップ(2016年末499店)やファミリーマート(同99店)との差を拡大させている。このほど、2017年は35億ペソ以上を投じて約410店の出店を行う意向を表明した。

 このようなPSCの2016年(1月~12月)の全店売上高は前年比23.2%増の317億5,650万ペソ、商品売上高は同26.6%増の283億5,730万ペソ、営業利益は同17.3%増の17億4,390万ペソ、純利益は同16.6%増の11億7,550万ペソに達した。1株当たり純利益(EPS)も同16.4増の2.56ペソに達した。新店効果や年前半の選挙特需などで、地方でのネットワーク構築コスト増などを完全にカバー、二桁増収増益決算となった。

 フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年末)とPSC年間純利益(単位:百万ペソ)推移
時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年 15年 16年
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,282 1,602 1,995
純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5
 (出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(月末値)
年・月 12年 13年 14年 15年 2016年 17年
3月 6月 9月 12月 1月 2月
セブンイレブン 829 1,009 1,282 1,602 1,655 1,740 1,840 1,995 N.A. N.A.
ミニストップ 337 386 454 519 518 513 501 499 493 492
ファミリーマート 0 31 87 120 104 102 101 99 98 95
(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値)
注:比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストア傘下


 このような好調なセブンイレブンを後続コンビニが追撃しようとしているが、セブンイレブンの動きの方が早く、現時点では店舗数差は上表のように拡大傾向 にある。特に、2016年は上記の様に393店純増で、店舗数が減少しているミニストップ(2016年20店純減)やファミリーマート(同21店純減)との差が広がっている。なお、2015年3月にフィリピン1号店をオープンしたローソンの店舗数は、今年2月時点で約30店に達している(17年4月4日のフィリピン証券取引所回覧01952-2017号などより)。