3月のインフレ率3.4%、2年4カ月ぶりの高水準

寄与度:食料1.5%、外食・サービス0.2%

2017/04/06

 フィリピン統計庁(PSA)発表によると、2017年3月のインフレ率(総合消費者物価指数{CPI、2006年=100}の前年同月比上昇率)は3.4%(速報値)となり、前月(3.3%)から0.1%ポイント上昇した。そして、2014年11月の3.7%以来、2年4カ月ぶりの高水準となった。

 3月のインフレ率はフィリピン中央銀行(BSP)の事前予想 (3.0~3.8%)及び2017年政府インフレ目標(2.0~4.0%)の圏内に収まった。また、特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は2.9%、前月から0.2%ポイント上昇。

 3月のインフレ率上昇は、主に電気料金、国内石油製品等非食品品目の価格上昇に起因する。一方、食品では、米、肉類、油脂等の物価上昇が目立ったが、魚類、青果類、砂糖の値下がりで相殺された。

 総合インフレ率を地域別で見ると、首都圏(地域別構成比30.006%)は4.0%で前月から0.4%ポイント上昇。一方、地方 (地域別構成比 69.994%)は3.3%で、前月から0.1%ポイント上昇した。

 インフレ率が最も高かった地方はビコール地方(4.4%)、次いでミンダナオ・イスラム教徒自治区(4.0%)。最もインフレ率が低かった地方は、イロコス地方(1.6%)、次いでミマロパ地方(1.7%)であった。


CPI上昇率(インフレ率:2006年基準、前年同月比%)
項目 17年3月 17年2月 16年3月 17年1-3月
全国    総合インフレ率 3.4 3.3 1.1 3.2
       コアインフレ率 2.9 2.7 1.5 2.7
首都圏  総合インフレ率 4.0 3.6 0.2 3.5
地方    総合インフレ率 3.3 3.2 1.3 3.1
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


インフレ率目標と実績の推移(11年以前の実績はその目標設定時の00年基準値、それ以降は06年基準)
10年 11年 12年 13年 14年 15年 16~18年
インフレ目標 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0%  3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 3.8% 4.6% 3.2% 3.0%  4.1% 1.4% -
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


総合CPI上昇率(2006年基準、前年同月比%)
項目 年間 16年 17年
16年 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
総合 1.8 1.1 1.1 1.6 1.9 1.9 1.8 2.3 2.3 2.5 2.6 2.7 3.3 3.4
食料品・非アルコール飲料 2.5 1.6 1.6 2.3 2.9 2.7 2.4 3.1 3.4 3.3 3.6 3.4 4.1 4.0
酒類・煙草 5.7 5.0 5.2 5.6 5.7 5.8 6.0 6.2 6.1 6.5 6.3 5.6 6.0 6.4
衣料・靴類 2.3 1.8 1.9 2.4 2.5 2.5 2.6 2.7 2.8 2.6 2.5 2.8 2.8 2.9
住宅・水道光熱費 -0.2 -1.5 -1.5 -1.2 -0.4 -0.2 0.2 0.9 0.9 1.3 1.3 1.8 2.9 4.0
家庭備品・設備 1.9 1.5 1.4 1.6 1.8 2.0 2.2 2.3 2.4 2.4 2.4 2.3 2.3 2.5
保健・衛生 2.4 1.9 2.2 2.4 2.5 2.4 2.7 2.7 2.6 2.6 2.5 2.6 2.6 2.8
交通・輸送 0.3 0.0 0.0 0.1 -0.1 -0.1 0.1 0.2 0.2 0.5 1.9 2.4 2.8 2.6
通信 0.1 0.1 0.1 0.2 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.2
娯楽・文化 1.6 1.1 1.3 1.6 1.7 1.8 1.7 1.7 1.8 1.6 1.7 1.9 1.8 1.8
教育 2.6 3.6 3.6 3.6 1.9 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8 1.8
外食・雑貨・サービス 2.1 1.9 2.1 2.2 2.3 2.3 2.4 2.4 2.4 2.1 2.1 2.2 2.1 1.7
首都圏 1.2 0.2 0.4 1.0 1.1 1.0 1.2 2.0 2.1 2.0 2.7 3.0 3.6 4.0
 地方 1.9 1.3 1.3 1.7 2.1 2.1 2.0 2.4 2.4 2.6 2.6 2.7 3.2 3.3



食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)
項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
16/3月 1.6 -1.7 2.5 3.3 9.1 1.2 2.8 1.2 0.3 -0.9 7.1 2.6
4月 1.7 -1.3 2.7 3.9 9.6 1.8 1.3 1.2 1.2 -0.5 6.7 1.3
5月 2.4 -0.8 2.5 4.0 12.7 2.3 2.9 1.5 2.3 -0.2 4.7 -1.2
6月 3.0 -0.5 2.6 5.5 16.5 2.5 3.9 1.8 2.9 0.1 3.5 -3.0
7月 2.8 0.0 2.9 6.0 12.8 2.2 4.1 1.8 3.5 0.5 3.3 -2.6
8月 2.5 0.5 2.5 6.8 6.3 1.9 4.2 2.0 3.8 0.9 3.4 -2.5
9月 3.1 1.0 2.3 8.2 10.8 1.7 4.6 2.1 4.3 1.1 3.4 -2.1
10月 3.5 1.2 2.7 8.8 12.6 1.6 4.5 2.2 4.5 1.4 3.4 -1.0
11月 3.5 1.4 1.6 9.4 11.0 1.5 4.7 2.2 4.7 1.5 2.9 -0.1
12月 3.7 1.6 1.4 9.3 11.5 1.8 5.5 2.2 4.7 1.6 2.5 0.9
17/1月 3.6 1.8 1.0 8.4 8.6 1.6 6.2 2.2 5.0 1.7 1.8 1.2
2月 4.3 2.0 0.5 7.9 12.8 2.3 7.3 2.3 6.3 1.8 1.3 1.4
3月 4.2 2.3 0.5 7.5 10.5 3.2 7.0 2.6 7.0 2.1 0.2 1.0
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、3月の総合インフレ率(2006年=100)3.4%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.6%(うち食料品1.5%)、住宅・水道光熱費0.9%、外食・サービス他0.2%、教育0.1%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。

 一方、2017年第1四半期(1~3月)の平均インフレ率3.2%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料1.5%(うち食料品1.5%)、住宅・水道光熱費0.6%、外食・サービス他0.2%、教育0.1%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類 0.1%。

 中央銀行(BSP)によると、現在のインフレ率は、金融政策上対処可能なインフレ見通しであるとの中央銀行の評価と一致したものである。同行は、金融政策のスタンスが確実に物価安定に繋がるよう、引き続き、国内、海外の景気動向や物価傾向を注意深くモニターしていく方針である(17年4月5日のフィリピン統計庁・中央銀行発表より)。


2017年3月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)
項目 物価指数 3月 1-3月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.00 3.4 3.4 3.2 3.2
食料品・非アルコール飲料 38.98 4.0 1.6 3.8 1.5
   うち食料品のみ 36.29 4.2 1.5 4.0 1.5
酒類・煙草 2.00 6.4 0.1 6.0 0.1
衣料・靴類 2.95 2.9 0.1 2.8 0.1
住宅・水道光熱費 22.47 4.0 0.9 2.9 0.6
家庭用品・営繕 3.22 2.5 0.1 2.3 0.1
健康・医療 2.99 2.8 0.1 2.6 0.1
交通・輸送 7.81 2.6 0.2 2.7 0.2
通信 2.26 0.2 0.0 0.2 0.0
娯楽・文化 1.93 1.8 0.0 1.8 0.0
教育 3.36 1.8 0.1 1.8 0.1
外食・サービス他 12.03 1.7 0.2 2.1 0.2
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)