比パナソニック業績続伸、第1四半期89%増益
2016/09/02
純利益1億9千万ペソ、売上33%増の31億ペソ
パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンズ(PMPC、会計期末3月)は、このほど、2016年度(2016年4月~2017年3月)第1四半期(4月~6月)の事業報告書報告書を公表した。それによると、近年好調な業績が更に向上している。
ちなみに、2015年度年間の業績については、純売上高が前年度比21%増の81億2,431万ペソに達した。堅調なフィリピンの内需、新製品投入、昨秋のクリスマス商戦に向けての早めの準備などにより二桁増収となった。 粗利益は同25.1%増の18億0,352万ペソ(粗利益率22.2%)、税引き前利益は同84.2%増の3億9,969万ペソへと急増した。税金費用も同173.5%増加したが、純利益は同54.4%増の2億5,096万ペソへと大幅増加した。
そして、2016年度第1四半期(4月~6月)の純売上高は前年同期比32.8%増の31億2,737万ペソへと大幅増加した。エルニーニョ現象に伴う少雨高温という気候も追い風となり、エアコンなどの家電販売が好調であった。大幅増収効果にくわえ、銅、金属シート、レジンなどの原料価格低下もあって、粗利益は同64.1%増の9億2,483万ペソ、純利益は同89.1%増の1億8,939万ペソへと各々大幅増加した。特に、第1四半期の純利益は、好調であった前年度年間利益額の75%の水準にまで達したことが目立つ。
PMPCの業績は、2000年代の一時期の低迷期を抜け出て、2010年代は下表のとおり上昇トレンドを続けている。2015年度の純利益は2011年度に比べ4.3倍へと急拡大している。2016年度は、好調であった2015年度をさらに上回る好調なスタートとなっている。PMPCは先頃、主力の家電製品中心に拡販やシェア拡大を図ることで、年率20%の増収を続け、2018年度の売上高を2014年度比倍増の140億ペソ超とすることを目指すと表明した。特に、インバーター技術活用のエアコンや洗濯機の拡販を図っていく。また、市場シェア27%で首位となっている冷蔵庫についてもトップの座をさらに強固にする方針である。ちなみに、2015年度の純売上高のうち、冷蔵庫が40.6%、エアコンが36.0%を占めており、2011年度の各々27.8%、30.4%から上昇している。
パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン業績推移(単位:万ペソ、15年度までは年間ベース)
項目 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 15年度 | 16年度第1四半期 | 前年度同期比 |
純売上高 | 594,273 | 640,939 | 659.639 | 671,343 | 812,434 | 312,737 | +32.8% |
粗利益 | 142,356 | 168,913 | 173,238 | 144,166 | 180,352 | 92,483 | +64.1% |
税引前利益 | 8,712 | 16,247 | 20,152 | 21,695 | 39,969 | 23,294 | +95.2% |
所得税費用 | 2,902 | 7,862 | 3,947 | 5,437 | 14,872 | 4,355 | +127.1% |
純利益 | 5,810 | 8,384 | 16,205 | 16,258 | 25,098 | 18,939 | +89.1% |
(出所:PMPC年次報告書、事業報告書などから作成)
パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピンの製商品別売上構成比
製品 | 11年度 | 12年度 | 13年度 | 14年度 | 2015年度 |
冷蔵庫 | 27.8% | 29.1% | 33.2% | 36.5% | 40.6% |
エアコン | 30.4% | 29.1% | 37.9% | 36.0% | 34.8% |
テレビ | 5.0% | 1.6% | 1.9% | 1.5% | 1.1% |
洗濯機 | 10.3% | 10.0% | 11.9% | 11.6% | 9.8% |
その他&輸出 | 26.5% | 30.2% | 15.1% | 14.4% | 13.7% |
合計 | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% | 100.0% |
(出所:PMPC年次報告書などから作成)
なお、PMPCの起源は、1963年5月に設立されたフェスティバル・マニュファクチャリング(FMC)である。FMCは1965年に、プレシジョン・エレクトロニクス(PEC)と社名変更した。このPECと松下電器産業(MEI、社名は当時)が1967年にフィリピンで合弁家電企業を設立した。当初の合弁企業名はPECだったが、25年後の1992年にマツシタ・エレクトリック・フィリピン(MEPCO)と変更された。さらに、2005年に現社名PMPCへと再変更された。すなわちパナソニックは、フィリピンで約50年もの長い歴史を有している。2017年には合弁企業創立50周年、2018年には本社パナソニックが創立100周年を迎える。
この間、フィリピンで初めての非水銀電池やフロンガス不使用の冷蔵庫の生産、家電メーカーとして初めてとなるISO9002、ISO14001認証取得など輝かしい成果を上げてきた。また、フィリピン家電業界をリードする一方、社会貢献活動やパナソニックの「アジア大洋州エコアイディア宣言」に沿った環境保全活動なども推進している。
PMPCは1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場されている。現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。浮動株比率は15.78%。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は2016年6月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である(パナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン2016年第1四半期事業報告書などより)。
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