不正送金問題でRCBCに10億ペソの課徴金決定

2016/08/05

中央銀行、資金洗浄防止強化の動きなどは評価

 

 今年2月初めに、バングラデシュ銀行(中央銀行)の米ニューヨーク連邦準備銀行に保有する口座がハッカーに不正アクセスされ、盗まれた8,100万ドルがフィリピンのリサール商業銀行(RCBC)ジュピター支店の口座へ送金され、その後フィリピン国内等に流出するという事件が発生した。



 この問題に関して、特別調査を続けていたフィリピン中央銀行(BSP)は、監視執行措置(SEA)として、RCBCに対して10億ペソの課長金を課すことを決議したと発表した。10億ペソというのは、BSPがSEAとして金融機関に課した課徴金としては史上最高額である。

 BSPは、「今回の措置は、効果的かつ確固たる金融機関監視による金融システムの安定図るというBSPの決意の表れである」と強調した。同時に、「事件後のRDBCの資金洗浄防止強化、テロリスト資金リスク管理システム強化、統治文化強化等の動きは評価出来る」ともコメントした。

 なお、この不正送金問題を受けて、5月に当時のRCBCのロレンソ・タン頭取兼CEO(最高経営責任者)が辞職した。それまでのRCBCの内部調査においては、ロレンソ・タン氏は不正行為には全く係っていないと結論付けられていた。それにもかかわらず辞職したのは、このような事件が起きたことに関してのトップとしての監督不行き届きに責任を感じたこと、調査に全く関与しないという状況を作るためと考えられる。

 RCBCは、5月17日開催の特別取締役会において、ロレンソ・タン氏の後任として、当時デベロップメント・バンク・オブ・フィリピン(DBP)の頭取兼CEOであったヒル・ブエナベントゥーラ氏(63歳)を選出した。同氏は、7月1日からRCBCの頭取兼CEOに就任した(16年8月5日のフィリピン中央銀行発表などより)。