PLDT、上半期の純利益33%減の125億ペソ

2016/08/03

コア純利益6%減、通年で15%減の300億ペソへ

 

 通信業界首位のフィリピン長距離電話(PLDT)が、8月2日、2016年第上半期(1月~6月)の決算速報を発表した。

 それによると、今上半期の営業収入は前年同期比微増の853億ペソ、そのうちサービス収入は同1%減の806億ペソと依然伸び悩んだ。一方、費用は同17%増の750億ペソへと大幅増加した。これらの結果、株主帰属純利益は同33%減の125億ペソ、デリィバティブ損益など一時的損益などを調整したコア純利益は同6%減の177億ペソであった。すなわち、実質6%減益決算であった。

 フィリピンの携帯電話普及率が100%を超える(重複加入などを考慮しない単純計算)一方、競争激化、先行投資負担など事業環境は厳しくなってきている。PLDTの業績も2011年、12年、13年、14年、15年と調整局面が続いたが、16年も業績面での調整局面が続いている。

 2016年上半期末の携帯電話加入件数は6,447万件で前年同期末の6,886万件から6%減少した。プリペイド方式が同7%減の6,148件、ポストぺイド方式が同1%減の299万件となっている。ブランド別内訳はスマートが同10%減の2,282万件、トークNテキストが同11%増の3,086万件、買収したディジテルのサンセルラーが同31%減の1,079万件となっている。

 競争激化のなか、PLDTは高水準の投資によるデータやITサービス事業、携帯電話を通しての新たな付加価値サービス事業などの強化を推進してきている。また、ディジテル買収など事業基盤強化も推進してきている。今上半期の設備投資額は同44%増の200億ペソに達した。2016年年間でも前年比11%増の480億ペソに達する見込みである。

 PLDTは、中期的には高付加価値化効果が一層顕在化してきそうなこともあって、業績が再上昇基調となる可能性が高いとの自信を表明している。しかし、足許の業績は厳しそうであり、再上昇基調となるには約3年がかかる見込み。現時点での2016年年間のコア純利益予想額は15%減の300億ペソである。ただし、当初予想の同20%減の280億ペソからは上方修正されている(16年8月2日のフィリ ピン証券取引所回覧4536-2016号などより)。