新政権、今年の成長率目標6~7%へと下方修正
2016/07/06
来年は6.5~7.5%、再来年以降22年まで7~8%に
インフレ目標2~4%継続、1ドル=45~48ペソ想定
6月30日に発足したドゥテルテ新政権がマクロ経済目標の見直しを行った。
政府のマクロ経済指標目標決定機関である開発予算調整委員会(DBCC)は、7月5日に、マクロ経済目標の見直しのための会議を開催した。
そして、2016年のGDP成長率目標に関して、アキノ政権による改訂目標6.8~7.8%から6.0~7.0%へと下方修正した。その理由は、①2016年上半期はアキノ政権下にあり新政権は下半期しか担当できないこと、②2016年第1四半期の6.9%という予想外の高成長は5月9日投票の総選挙特需の寄与が大きく、選挙終了後の下半期はその反動が出そうなこと、③下半期はこれまでのエルニーニュ現象(干ばつなど)の後遺症と、顕在化しつつあるラニーニャ現象の悪影響(多雨による洪水被害や工事遅延など)で成長が抑制される可能性があることなど。
2017年のGDP成長率予想に関しても、これまでの6.6~7.6%から6.5%~7.5%へと下方修正された。しかし、2018年から任期最終年の2022年に関しては7.0~8.0%という従来目標を踏襲する。
2016年の歳入目標もアキノ政権時の2兆6,970億ペソから2兆5,730億ペソへと下方修正された。一方、歳出予定額に関しては約3兆ペソが踏襲される。この結果、2016年の財政赤字対GDP比率上限目標はアキノ政権時の2%から2.5%へと変更された。これは、インフラ整備などのための歳出を拡大させるためであり、2017年は3%と設定された。ちなみに、インフラ支出対GDP比率は5.2%と設定されている。なお、税制改革・効率化により、歳入は2017年に2兆9,750億ペソ、2018年には3兆3,000億ペソへと拡大すると見込んでいる。
輸出伸び率に関しは、2016年はこれまでの5%から3%へと下方修正された。しかし、2017年は6%、2018年は8%、2019年と2020年は10%、2021年と2022年は11%へと再拡大すると想定している。貧困率に関しては、2015年下半期の26.3%から2022年に16~17%への改善を目標としている。インフレ率目標は2016年から2022年まで2~4%を継続する。
マクロ経済目標や予算策定における前提条件の一つであるペソ対米ドルレートに関しては中期的に1米ドル=45~48ペソ、ドバイ原油価格に関しては、2016年1バレル当たり35~50米ドル、2017年同40~55米ドル、2018年同45~60米ドル、2019年から2022年まで同50~65米ドルと想定している。また、1年物国債利回りは2016年2~4%、2017年から2022年までは2.5~4%と想定されている