比セブンイレブン独走、第1四半期62%増益
2016/05/12
3月末1,655店に、1年間で314店(23%)増加
ミニストップ519店、ファミマ104店等と大差
フィリピンでもコンビニエンス・ストアが普及期を迎え、マニラ首都圏中心に競争が激化しつつある。現在は業界断トツのセ ブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、2013年にはファミリーマートとサークルKが進出、 2015年3月にはローソンもフィリピン1号店をオープンした。
首位のセブンイレブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2015年12月末現在)するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得、1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。その後、店舗網拡充に注力、2013年末に1,000店の大台を突破、2015年末には1602店に達し、フィリピンでのブランド・コンビニエンスストア店舗数シェア約50%を誇っている。
2016年も店舗数が順調に増加ししている。第1四半期に55店をオープン、2店を閉鎖した。この結果、3月末の店舗数は1,655店に達し、2015年3月末の1,341店から314店、率にして23%の増加となっている。最近は地方へも積極進出している。1,655店の地方別内訳はマニラ首都圏 を含むルソン地方1,421店、セブを中心とするビサヤ地方189店、ダバオを中心とするミンダナオ45店となっている。
PSCは、2016年にセブン・イレブン店舗数を400店純増(2015年は320店純増)させ、2016年末に2,000店体制とする方針である。し たがって、2016年の設備投資額も前年比4割増の35億ペソと高水準となる見込みである。下表の様に、店舗網拡充とともに業績も上昇基調を辿っている。
5月11日発表の速報値では、PSCの2016年第1四半期(1月~3月)の全店売上高は前年比33.5%増の73億4,260万ペソ、商品売上高は同44.7%増の65億7,220万ペソ、営業利益は同59.3%増の2億6,780万ペソ、純利益は同61.6%増の1億8,240万ペソに達した。1株当たり純利益(EPS)も同60%増の0.40ペソとなった。新店効果や選挙特需などで、地方でのネットワーク構築コスト増などを完全にカバー、大幅増収増益となった。
フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年・月末)と純利益(単位:百万ペソ)推移推移
時期 | 06年 | 07年 | 08年 | 09年 | 10年 | 11年 | 12年 | 13年 | 14年 | 15年 | 2016年3月 |
店舗数 | 287 | 311 | 368 | 447 | 551 | 689 | 829 | 1,009 | 1,282 | 1,602 | 1,655 |
純利益 | 20.1 | 54.8 | 84.3 | 155.8 | 276.9 | 356.3 | 465.2 | 682.6 | 873.3 | 1,080.3 | 182.4 |
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)
フィリピンの主な日系コンビニ店舗数(比セブンイレブンは直接的には台湾プレジデント・チェーン・ストアの傘下)
年・月 | 12年末 | 13年末 | 14年末 | 15年3月末 | 6月末 | 9月末 | 12月末 | 16年1月末 | 2月末 | 3月末 |
セブンイレブン | 829 | 1,009 | 1,282 | 1,341 | 1405 | 1,480 | 1,602 | N.A | N.A | 1,655 |
ミニストップ | 337 | 386 | 454 | 472 | 495 | 511 | 519 | 521 | 517 | 519 |
ファミリーマート | 0 | 31 | 87 | 95 | 105 | 113 | 120 | 111 | 108 | 104 |
(出所:各社資料より作成、ミニストップ、ファミリーマートは日本側発表数値)
このような好調なセブンイレブンを後続コンビニが追撃しようとしているが、セブンイレブンの動きの方が早く、現時点では店舗数差は上表のように拡大傾向にある。特に、今年に入り、店舗展開が停滞傾向にあるミニストップやファミリーマートとの差が広がっている(16年5月11日のフィリピン証券取引所回覧 02611-2016号などより)。