東海メディカル、フィリピンでカテーテル製造へ

2015/12/31

JBICと三菱東京UFJが融資、医療の国際展開支援

 

国際協力銀行(JBIC)は、12月21日、「海外展開支援融資ファシリティ」の一環として、東海メディカルプロダクツ(東海メディカル、本社:愛知県春日井市、代表取締役社長:筒井 康弘氏)との間で、融資金額42万6,000米ドル(JBIC分)の貸付契約を締結した。この融資は、三菱東京UFJ銀行との協調融資によるものである。



 この案件は、東海メディカルのフィリピン法人TOKAI MEDICAL PRODUCTS PHILIPPINES INC.(TMPPI)がバタンガス州の工業団地「ファースト・フィリピン・インダストリアル・パーク(FPIP)」で行う医療機器(カテーテルの製造・販売事業に必要な資金を融資するものである。

 東海メディカルは、医療機器の製造・販売を行う研究開発型の中堅企業であり、北米、欧州及びASEAN等における需要拡大を背景に、生産拠点として地理的優位性のあるフィリピンに、2014年10月にTMPPIを設立した。

 東海メディカルはTMPPIで現地生産を行うことで、安定供給や海外販路の拡大を企図しており、今回の融資は、こうした東海メディカルの海外事業展開への支援を通じて、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。また、「健康・医療戦略(2014年7月22日閣議決定)」及び「インフラシステム輸出戦略(2015年度改訂版)」では、医療の国際展開支援について謳われており、今回の融資はこうした日本政府の施策にも合致するものである。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、様々な金融手法を活用した案件形成やリスクテイク機能等を通じ、中堅・中小企業を含む日本企業の海外事業展開を金融面から支援していく方針である。

 なお、1981年設立の東海メディカルの主力製品はIABP(大動脈内バルーンポンピング)バルーンカテーテルやPTCA(経皮的冠状動脈形成術)バルーンカテーテル、マイクロカテーテル等のカテーテル製品である。フィリピンでは、主にIABPバルーンカテーテルの製造を行う計画であり、フィリピンでの製造開始により生産能力は80%以上拡大すると見られる。

 創業者でもある筒井会長は、次女の佳美さんが先天性の心臓疾患だったことから、医療機器開発を目的に東海メディカルプロダクツを設立した。当初の人工心臓研究を得て心臓疾患向けのカテーテル開発・製造を行うに至った。筒井会長は、起業家表彰制度「EY アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン」の2015年日本代表に選出され、来年6月に開催される世界大会EY ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤーに臨むことになっている。

 なお、フィリピンのTMPPIは東海メディカルにとって初の海外製造拠点となる。現在、工場の建築工事は概ね完了し、今年8月から工場オフィスエリアを仮オープン、日本人駐在員2名とローカルスタッフ2名の合計4名体制で、製造開始に向け準備作業を急ピッチで進めている。今後は、クリーンルームを含む各種製造設備のバリデーションや、オペレーターのトレーニング(約3カ月)、および各種認可tの取得を経て、2016年2月頃に日本へ向けての初出荷を行う事を目標としている(15年12月22日の株式会社国際協力銀行ニュースリリースや株式会社東海メディカルプロダクツのウエブサイトなどより)。