10カ月間のOFW送金3.5%増の228億ドル

2015/12/15

うち銀行経由分は3.7%増の206億ドルに
日本からは1.5%減の8億ドル、国別6位

 

  フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2015年10月のフィリピン人海外就労者(OFW)からの本国送金額(銀行経由の現金送金額)は前年同月比0.2%増の22億3,200万米ドル(速報値)であった。一方、日本からのOFW送金額は前月比3.2%増の7,190万米ドルであった。

 また、15年年初10カ月間(1月~10月)の累計OFW送金額(銀行経由の現金送金額)は前年同期比3.7%増の206億4,000万米ドル。そのうち、陸上ベースのOFWからの送金は4.0%増の158億3,300万米ドル、海上ベースのOFWからの送金は2.9%増の48億0,700万米ドルであった。 なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比0.7%減の83億3,300万米ドル(シェア40.4%)、2位サウジアラビアの5.9%増の21億6,900万米ドル(10.5%)、3位アラブ首長国連邦(AUE)の3.6%増の14億3,800万米ドル(7.0%)、4位シンガポールの15.1%増の11億2,500万米ドル(5.5%)、5位英国の2.8%減の11億米ドル(5.3%)、6位日本の1.5%減の8億1,500万米ドル(3.9%)、7位カナダの36.3%増の7億3,900万米ドル(3.6%)、8位香港の12.6%増の6億3,800万米ドル(3.1%)など。

 フィリピン海外雇用管理局(POEA)の最新資料によると、年初10カ月間に認可された求人は71万7,182人。そのうち44.1%は処理済。主にサービス業、製造業、専門職、技術系の職種で、主要ホスト国は、サウジアラビア、クウェート、カタール、台湾、香港など。

 根強いOFW需要のほか、継続的な銀行・ノンバンク系送金機関のネットワーク拡大、送金市場における金融商品の革新等がOFW送金の成長に寄与している。


海外フィリピン人労働者(OFW)からの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル)

項目 年間推移 1-10月
10年 11年 12年 13年 14年 14年 15年 伸び率(%)
送金額 18,763 20,117 21,391 22,984 24,348 19,910 20,640 3.7
日本から 883 914 1,010 904 982 828 815 -1.5




月別海外フィリピン人労働者(OFW)からの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル、%)

14年 15年
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
送金額 2,228 2,122 2,317 1,814 1,876 2,101 2,015 2,099 2,179 2,078 2,044 2,201 2,232
対前年同月伸率 6.9 1.8 6.3 0.5 4.2 11.3 5.1 5.8 6.1 0.5 -0.6 4.3 0.2

(注:14年は改定値、15年は速報値)


 国際通貨基金(IMF)の「国際収支国際投資ポジションマニュアル」(BPM第6版)に準拠した包括的OFW送金データ(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与含む)によると、10月の包括的OFW送金額(速報値)は前年同月比0.2%増の24億6,700万米ドル。年初10カ月間では前年同期比3.5%増の228億3,300万米ドルに達した。当然のことながら、従来からの公表データである銀行経由分のみの送金額を上回っている(15年12月15日のフィリピン中央銀行発表などより)。


包括的OFW送金額(単位:百万米ドル)

項目 年間推移 1-10月
10年 11年 12年 13年 14年 14年 15年 伸び率(%)
送金額 20,563 21,922 23,352 25,369 26,968 22,064 22,833 3.5




月別包括的OFW送金額推移(単位:百万米ドル、%)

14年 15年
10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月
送金額 2,462 2,346 2,559 2,011 2,078 2,326 2,233 2,321 2,406 2,299 2,260 2,434 2,467
対前年同月伸率 6.8 1.5 6.0 0.2 4.0 11.0 4.9 5.5 5.8 0.5 -0.8 4.3 0.2

(出所: フィリピン中央銀行資料より作成、14年は改定値、15年は速報値)