三菱日立パワー、比初の超臨界発電機器受注

2015/12/10

 

 三菱日立パワーシステムズ(MHPS、本社:神奈川県横浜市)は、フィリピンの特別目的会社であるサン・ブエナヴェントゥーラ発電社(San Buenaventura Power Ltd.)が建設する出力50万キロワットのサン・ブエナヴェントゥーラ超臨界圧石炭焚き火力発電所向けボイラー、蒸気タービンおよび発電機を受注した。

 EPC(設計・調達・建設)を担当する韓国の大林産業(Daelim Industrial Co., Ltd.)および三菱商事を通じて供給するもので、運転開始は2019年6月の予定である。

 今回のプロジェクトは、フィリピンで初の超臨界圧方式の発電所となるもので、首都マニラ東方約100キロメートルのケソン州マウバンに位置する電力会社、ケソンパワー社のケソン発電所敷地内に増設される。燃料はインドネシアから輸入される亜瀝青炭で、運転開始後は、長期の売電契約に基づき、同国最大の配電会社マニラ電力(メラルコ)に発電した電力の全量を売電して、地域の旺盛な電力需要に応えることとなる。

 なお、通常(大気圧=1気圧)の環境では水は100℃で沸騰し、それ以上の温度・圧力にはならないが、圧力を高めれば沸騰する温度が100℃以上になり、さらに圧力を高めて374℃、22.12MPa(大気圧の約220倍)に至ると、水は沸騰せずに水蒸気に変化するようになる。これを臨界点と呼び、それよりも圧力が高い状態を超臨界圧と呼ぶ。近年、発電効率を高めるため、超臨界圧のボイラーや蒸気タービンなどの需要が高まっている。

 サン・ブエナヴェントゥーラ発電社は、ともに発電会社であるタイのElectricity Generating Public Company Limited(EGCO)とフィリピンのメラルコパワージェン(MGEN)が共同出資する特別目的会社である。EGCOには三菱商事と東京電力がそれぞれ12.286パーセントを出資している。また、MGENはメラルコ社の発電子会社である。

 MHPSは、幅広い炭種を燃料として利用できるボイラーを設計・生産する技術を有しており、数多くの運転実績を踏まえた低環境負荷型バーナーや幅広い炭 種に適用可能な高性能ミルを採用することで、高い発電効率を実現するとともに、NOx(窒素酸化物)やCO2排出量も抑制することができる。

 MHPSは今後も、この優れた技術を活用して、石炭火力発電設備の需要増加が期待されるフィリピンをはじめとする東南アジアや、東欧、中南米、アフリカ などで積極的な営業を展開する方針で、地域で異なる多種多様な燃料源や燃料性状に柔軟に対応することで、広範な国・地域における電力安定供給と環境負荷低減に貢献していく方針である(15年12月9日の三菱日立パワーシステムズ株式会社ニュースリリースより)。