樹脂成型のヤマト(川越市)、フィリピン進出

2015/12/06

中国一国集中リスク回避、日系同業のBPC買収

 

 合成樹脂成形や物流機器関連事業を展開するヤマト・インダストリー(ヤマト、JASDAQ上場、本社:埼玉県川越市)は、12月4日開催の取締役会において、フィリピンの同業であるビッグ・フィリピン・コーポレーション(BPC社)の株式を取得し子会社化することを決議、同日にBPC社株式取得契約を締結した。

 その契約によると、ヤマトはBPCの株式39万8,748株(79.7%)を5億7,800万円で取得する。アドバイザリー費用約2,600万円を含めると取得総額は約6億0,400万円となる。株式取得日は今年12月28日と予定されている。取得資金は金融機関よりの借入によりまかなわれる。

 1997年設立のBPC社(代表者:山田由紀夫氏)の所在地はカビテ州シランの「ダイイチ・インダストリアル・パーク・エコゾーン」、事業内容は精密機器用プラスチック部品の製造販売である。資本金は5,000万ペソ(約1億3,000万円)、持株比率は山田由紀夫氏75.7%、株式会社ピーアイジー(本社:埼玉県比企郡)24%、その他0.3%となっている。ピーアイジーの事業内容も精密機器用プラスチック部品の製造販売である。

 2014年末のBPC社の総資産額は3億2,037万ペソ、純資産は1億7,405万ペソ。2014年の売上高は4億8,486万ペソ、営業利益は5,050万ペソ、純利益は4,683万ペソ、1株当たり純利益は93.65ペソとなっている。

 一方、ヤマトの2015年3月期の売上高は158億9,200万円(連結ベース:以下同様)、営業利益は2億3,200万円、経常利益は1億9,000万円、帰属純利益は7,700万円であった。
 
 ヤマトは、アジア事業強化を推進しようとしてきているが、現在海外での経営資源は中国に集中しているのが実情であり、一国集中のリスクを考え東南アジアにおけるチャイナプラスワンの事業展開を模索していた。今回子会社化するフィリピンのBPC社は顧客がヤマトグループのターゲットと合致していること、ヤマトグループの事業範疇とは異なる小型精密成型品の製造販売をおこなっていることから、ヤマトグループの得意とする中大型成形品と合わせてシナジー効果が期待でき、ユニット生産などの幅広い事業展開を図ることが出来ると判断した。

 金型製作に関しても、国内関連会社及び中国関連会社との連携を図ることにより、ヤマトグループのノウハウを活用し優位性を実現することが出来る。また、BPC社はフィリピンで18年の事業運営を行っており、現地スタッフによる業務推進が軌道に乗っていることもあり、新しい事業展開を進めていくうえでもスムーズに進めていくことが可能であり、ヤマトグループの更なる発展と業容拡大に寄与するものと判断し、今回の子会社化を決定した(15年12月4日の株式会社ヤマト・インダストリーのニュースリリースなどより)。