企業景況感改善、2年ぶりの高水準

2015/12/06

第4四半期51.3%(前期41.4%):中銀調査
選挙特需やAPEC波及効果期待など背景に

 

  フィリピン中央銀行(BSP)による企業調査によると、2015年第4四半期(10~12月)の総合景況感指数(CI)は51.3%ポイントで、前年同期の48.3%及び前期の41.4%から上昇した。そして、2013年第4四半期の52.3%以来、2年ぶりの高水準となった。

 景況感指数が改善した主な理由として、回答企業は、1)コメの主要収穫期及びクリスマス・シーズン中の予想される内需拡大(季節的要因) 2)生産量の拡大につながる継続的な受注やプロジェクトの増加 3)事業拡大と新生産ライン増設 4)新ビジネス戦略・プロセスの導入 5)フィリピン人海外就労者 (OFW)の安定した送金に加えてクリスマスシーズン中の送金額増加 6)2016年全国統一選に向けた選挙関連支出等を挙げた。また、政府のインフラ開発事業への支出拡大や堅調なマクロ経済、政策全般に扱いやすいインフレ環境、低金利、安定した自国通貨、APEC首脳会議を主催することによるビジネス活況化への期待なども企業のポジティブな見通しに寄与している。

 第4四半期の総合景況感指数(CI)を地域別に見ると、首都圏が55.2%(前期45.7%)、地方は44.3%(同33.9%)で、共に前期から改善した。

 業種別では、鉱工業セクターが35.3%(前期29.4%)、建設セクターが49.3%(同49.3%)、卸売・小売セクターが59.9%(同46.7%)、サービスセクターが57.6%(同46.0%)。

 サービスセクターでは、金融仲介業が63.8%(前期41.6%)、ホテル・レストランは 83.4%(同32.2%)、ビジネス活動は45.2%(同52.2%)、不動産は57.4%(同46.8%)、地域社会サービスは55.9%(同40.5%)、輸送は57.6%(同52.0%)。ビジネス活動に関する企業マインドのみ悪化したが、これは、11月のフィリピン開催のAPECの影響や年末にかけてのホリデーシーズンの影響でビジネスが鈍化するとの懸念によるものとみられる。

 一方、次期(16年1~3月)に関しては、総合景況感指数(CI)は43.9%で、前年同期時点での次の期のビジネス見通し(43.1%)より改善した。

 景況感指数(CI)は景気動向に関して良いという回答から悪いという回答を差し引いたもので、ゼロが中立となる。今回の聞き取り調査期間は2015年10月1日~11月16日、調査対象は証券取引委員会(SEC)登録上位7,000社(2010年現在)及びビジネス・ワールド紙上位1,000社(2013年現在)から選出された全国17地域の1,514社(首都圏606社、地方908社)で、回答率はフィリピン全体で83.6%(前期81.9%)。首都圏の回答率は 81.5%(前期 80.4%)、地方が85.0%(同83.0%)。

 回答者を業種別で見ると、輸入企業が12.0%、輸出企業が6.4%、輸出入企業が19.9%。49.2%が内需産業。回答者の約12.5%は業種を明記しなかった(15年12月4日のフィリピン中央銀行発表より)。