証券取引所(PSE)の大株主はサンミゲルやPLDTなど

2015/11/01

フィリピン証券取引所(PSE)は、このほど、2015年9月末のPSE主要株主名簿を公表した。PSE上場企業は四半期ごとに主要株主に関する報告を義務づけられている。PSE自身もPSEに上場(上場日は2003年12月15日)にしており、他の上場企業と同様な情報公開義務がある。



 近年、フィリピンでも株式の電子化、スクリップレス化が進展し、証書の株券での保有は非常に少なくなっている。そして、ほとんどの株式は、証券会社など金融機関経由で中央証券保管機構(PCD)に電子登録され、PCDの子会社PCDノミニー社によって名目上一括保有・管理されている。

 現在の主要株式報告においては、当然のことながら、多くの株主の株式を名目上一括保有するPCDノミニー社が筆頭株主となりがちである。最終的な株主の名前が個別で記載されるのは、古くから証書形式で株券を保有する株主が、PCDへの電子登録にシフトしないでそのまま株券として保有し続けているケースである。PDCノミニー社の内訳も発表されるが、PCDに口座を有する証券会社など金融機関別の表示だけ(株券保有以外の最終株主の保有株数はそれを直接預け入れている金融機関の保有数に反映されるのみ)である。したがって、通常の公表資料からだけでは最終株主の保有株数や比率の把握は非常に難しくなっている。
 
 2015年9月末時点でのPSE主要株主名簿の1位(筆頭株主) とその保有比率は、PCDノミニ―社(外国人分)63.24%となっている。そして、第2位がサンミゲル退職プランの10.30%、第3位がPCDノミニ―社(フィリピン人分)の8.67%、第4位がBA証券の1.52%などと続く。

 すなわち、個別名義が特定されている単独筆頭株主はサンミゲル退職プランといえる。これは、上記のようにサンミゲル退職プランによる証書での株券保有分と考えられる。PDCの個別名称が記されていない分なども含めると、サンミゲル・グループのPSE保有比率は10.30%よりかなり高いとの見方もある。

 また、フィリピン長距離電話(PLDT)ベネフィシャル・トラストファンド(PLDTBTF)を窓口とするPLDTグループもPSEの大口株主のようだ。ちなみに、PSEは2004年に私募方式で16.75%相当の新株を発行したが、売却先はサンミゲル退職基金、PLDTBTF、公務員年金・保障基金(GSIS)などであった。

 PSE筋によると、PSEの最終株主の大雑把な内訳はサンミゲルやPLDT等の上場企業の基金約40%、会員証券会社グループ約40%、その他一般投資家20%とのことでもある。公表資料からはPSE株式の現在の正確な保有比率把握は難しいが、PSE上場企業が大口株主となっていることは間違いなさそうである。

 現在フィリピンでは、株式や株式に絡んだ派生商品(ワラントなど)の上場、売買はフィリピン証券取引所(PSE)が管轄している。一方、債券や固定利付き商品の上場、売買に関しては、フィリピン・デーリング・システム・ホールディングス社(PDS)傘下の債券電子取引所(PDEx)が担当している。

 PSEによるPDS買収が進みつつあるが、現在のPDSの株主構成は、フィリピン銀行協会(BAP)28.9%、PSE21%、シンガポール証券取引所(SGX)20%、タタ・コンサルタンシーサービス(TCS)アジア8.0%、コンピューターシェア・テクノロジー8.0%、サンミゲル4.0%、フィリピン・アメリカンライフ&ジェネラルインシュアランス(フィーラム・ライフ)4%などである。サンミゲルは、PSEのみならず債券電子取引所の株主でもあることが注目される(フィリピン証券取引所ウエブサイトなどより)。