8カ月間のOFW送金4%増の179億ドル

2015/10/16

うち銀行経由分は4%増の162億ドル
8月は小幅ながら前年同月比マイナス

 

 フィリピン中央銀行(BSP)対外収支データによると、2015年8月のフィリピン人海外就労者(OFW)からの本国送金額(銀行経由の現金送金額)は前年同月比0.6%減の20億4,400万米ドル(速報値)であった。一方、日本からのOFW送金額は前月比18.7%減の7,259万米ドルであった。

 また、15年年初8カ月間(1月~8月)の累計OFW送金額(銀行経由の現金送金額)は前年同期比4.1%増の162億0,600万米ドル。そのうち、 陸上ベースのOFWからの送金は4.6%増の124億2,400万米ドル、海上ベースのOFWからの送金は2.3%増の37億8,200万米ドルであっ た。 なお、この統計におけるOFW送金額は中央銀行が把握している公式銀行ルートによるものである。

 送金元の国別動向については、1位が米国で前年同期比5.3%増の68億6,400万米ドル(シェア42.4%)、2位サウジアラビアの9.5%増の 17億2,200万米ドル(10.6%)、3位アラブ首長国連邦(AUE)の6.5%増の11億3,900万米ドル(7.0%)、4位英国の1.6%減の 8億7,500万米ドル(5.4%)、5位シンガポールの8.0%増の8億3,300万米ドル(5.1%)、6位日本の3.7%増の6億7,400万米ド ル(4.2%)、7位香港の15.3%増の4億8,300万米ドル(3.0%)、8位カナダの4.7%減の4億1,500万米ドル(2.6%)など。

 フィリピン海外雇用管理局(POEA)の最新資料によると、年初8カ月間に認可された求人は58万4,816人。そのうち41.5%は処理済。主にサー ビス業、製造業、専門職、技術系の職種で、主要ホスト国は、サウジアラビア、クウェート、カタール、台湾、香港など。

 根強いOFW需要のほか、継続的な銀行・ノンバンク系送金機関のネットワーク拡大、送金市場における金融商品の革新等がOFW送金の成長に寄与している。



海外フィリピン人労働者(OFW)からの銀行経由送金額推移(単位:百万米ドル)

項目 年間推移 1-8月
10年 11年 12年 13年 14年 15年 14年 伸び率(%)
送金額 18,763 20,117 21,391 22,984 24,348 16,206 15,572 4.1
日本から 883 914 1,010 904 982 674 649 3.7




月別海外フィリピン人労働者(OFW)からの銀行経由送金額推移(単位:百万ドル、%)

14年 15年
8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
送金額 2,057 2,110 2,228 2,122 2,317 1,814 1,876 2,101 2,015 2,099 2,179 2,078 2,044
対前年同月伸率 6.1 8.1 6.9 1.8 6.3 0.5 4.2 11.3 5.1 5.8 6.1 0.5 -0.6

(注:14年は改定値、15年は速報値)


 国際通貨基金(IMF)の「国際収支国際投資ポジションマニュアル」(BPM第6版)に準拠した包括的OFW送金データ(銀行経由現金送金+帰国時持参分+非現金型資産贈与含む)によると、8月の包括的OFW送金額(速報値)は前年同月比0.8%減の22億6,000万米ドル。年初8カ月間では前年同期 比3.9%増の179億3,300万米ドルに達した。当然のことながら、従来からの公表データである銀行経由分のみの送金額を上回っている(15年10月15日のフィリピン中央銀行発表などより)。



包括的OFW送金額(単位:百万米ドル)

項目 年間推移 1-8月
10年 11年 12年 13年 14年 15年 14年 伸び率(%)
送金額 20,563 21,922 23,352 25,369 26,968 17,933 17,268 3.9




月別包括的OFW送金額推移(単位:百万ドル、%)

14年 15年
8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
送金額 2,278 2,334 2,462 2,346 2,559 2,011 2,078 2,326 2,233 2,321 2,406 2,299 2,260
対前年同月伸率 7.4 8.3 6.8 1.5 6.0 0.2 4.0 11.0 4.9 5.5 5.8 0.5 -0.8

(出所: フィリピン中央銀行資料より作成、14年は改定値、15年は速報値)