9月の株価2.9%の続落、9カ月間では4.7%の下落に

2015/10/02

累計で不動産株1.7%上昇、鉱業・石油株は32.2%下落
ペソ対ドルレート5年ぶりのペソ安、年初から4.3%下落

 

 2009年から2014年まで6年連続で上昇しこの間の株価が約3.8倍へと急騰したフィリピン株式市場は、2015年も第1四半期及び4月上旬までは非常に強い動きとなっていた。しかし、それ以降は主に海外の不透明要因などにより調整の動きが続き、8月は月間で5.98%の大幅続落、年前半の上昇分を帳消しにした。そして、9月も2.89%の続落、年初9カ月間では4.66%の下落となっている。

 フィリピン証券取引所指数(PSEi)は、4月6日に終値ベースで初の8,000ポイント台乗せ、同10日には8,127.48ポイントという 終値ベースでの史上最高値を更新した。しかし、その後はギリシャ債務問題の再燃や米国の利上げ観測、さらには中国経済鈍化や金融市場混乱などを背景に調整が続いている。

フィリピン証券取引所指数、ペソ対米ドルレートの動き(年末値と月末価、2015年は8月末まで)

フィリピン証券取引所株価指数 ペソ対米ドルレート
時期 年末・月末値 上昇率 年末・月末値 上昇率
2004年 1,822.83ポイント 26.38% 56.280ペソ -1.39%
2005年 2,096.04ポイント 14.99% 53.090ペソ 6.01%
2006年 2,982.54ポイント 42.29% 49.030ペソ 8.28%
2007年 3,621.60ポイント 21.43% 41.280ペソ 18.77%
2008年 1,872.85ポイント -48.29% 47.520ペソ -13.13%
2009年 3,052.68ポイント 63.00% 46.200ペソ 2.86%
2010年 4,201.14ポイント 37.62% 43.840ペソ 5.38%
2011年 4,371.96ポイント 4.07% 43.840ペソ 0.00%
2012年 5,812.73ポイント 32.95% 41.050ペソ 6.80%
2013年 5,889.83ポイント 1.33% 44.395ペソ -7.53%
2014年 7,230.57ポイント 22.76% 44.720ペソ -0.73%
2015年1月 7,689.91ポイント 6.35% 44.080ペソ 1.45%
2月 7,730.57ポイント 0.53% 44.090ペソ -0.02%
3月 7,940.49ポイント 2.72% 44.700ペソ -1.36%
4月 7,714.82ポイント -2.84% 44.520ペソ 0.40%
5月 7,580.46ポイント -1.74% 44.590ペソ -0.16%
6月 7,564.50ポイント -0.21% 45.090ペソ -1.11%
7月 7,550.00ポイント -0.19% 45.740ペソ -1.42%
8月 7,098.81ポイント -5.98% 46.735ペソ -2.13%
 9月  6,893.98ポイント  -2.89%  46.740ペソ -0.01%
         
9カ月間 - -4.66% - -4.32%

 (出所:フィリピン証券取引所やPDS資料より作成)

 9カ月間の大分類セクター別指数の変化率トップは持株会社のプラス2.50%、次いで不動産のプラス1.70%。すなわち、この2セクターは年初から小幅ながら依然上昇となっている。その他は金融9.71%下落、工業11.11%下落、サービス22.08%下落、鉱業・石油32.21%下落とマイナス圏となっている。原油価格や金属国際市況の大幅下落を背景に、鉱業・石油株が大幅下落していることが目立つ。

フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率

項目 12年の上昇率 13年の上昇率 14年の上昇率 15年9月末終値 9カ月間上昇率
フィリピン証券取引所指数 32.95% 1.33% 22.76% 6,893.98 -4.66%
全株指数 21.48% -2.29% 17.99% 3,972.44 -6.85%
  金融株指数 57.49% -6.42% 18.78% 1,531.38 -9.71%
  工業株指数 25.48% 2.11% 37.89% 10,651.65 -11.11%
  持株会社株指数 47.01% 5.41% 16.03% 6.457.22 2.50%
  不動産株指数 55.59% -4.30% 27.42% 2,858.09 1.70%
  サービス株指数 6.70% 8.20% 13.94% 1,656.65 -22.08%
  鉱業・石油株指数 -17.43% -38.59% 32.70% 10,721.74 -32.21%

(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)


 参考:フィリピン証券取引所の(年末・年間値、15年は8月末値もしくは8カ月間累値)

項目 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年8月
フィリピン証券取引所指数 3,052.68 4,201.14 4,371.96 5,812.73 5,889.83 7,230.57 7,098.81
年末時価総額(億ペソ) 60,291 88,611 86,970 109,301 119,313 142,517 136,492
  国内企業時価総額 39,919 68,922 72,390 94,163 96,452 117,128 113,227
  外国企業時価総額 20,372 19,689 14,580 15,138 22,861 25,389 23,265
1日平均売買額(億ペソ) 41.1 49.5 57.1 72.6 105.2 88.0 94.4
外人の売買額シェア 32.4% 38.1% 37.8% 45.0% 51.0% 49.0% 50.0%
外人買越額(億ペソ) 149.2 356.2 565.2 1,099.8 155.9 557.2 -110.2
PER(株価収益率) 23.26倍 21.32倍 16.57倍 17.97倍 17.79倍 20.13倍 N.A.

 (出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)

 一方、PDS(フィ リピン・ディーリング・システム)でのペソ対米ドルレートは、2015年9月末終値が1米ドル=46.740ぺソとなり、月間で0.01%下落、5カ月連続での下落となった。

 年初9カ月間累計では4.32%のペソ安となったが、米利上げ観測に伴う世界的なドル高の流れ、ギリシャ債務問題や上海株式市場急落など海外不透明要因 が多い状況下で比較的堅調に推移しているともいえる。ASEAN主要国最高水準の経済成長率、高水準のOFW送金やそれにともなう経常収支黒字持続などが 一方的なペソ売りの歯止めとなっているようだ。