日本郵船のフィリピンでの船員教育、多大な成果

2015/09/24

日系初の商船大学第5期生107名卒業、累計554名に
国土交通省の15年度「船員安全取組大賞」も受賞

 

 日本郵船がフィリピンのトランスナショナル・ダイバーシファイド・グループ(TDG)と共同運営する商船大学NYK- TDG マリタイムアカデミー (NTMA)の5回目となる卒業式典が9月21日、マニラ近郊カランバ市カンルーバンのNTMA校で行われた。

 この式典には、フィリピン海外雇用庁のハンズ・レオ・カクダック長官ら多数の来賓を迎え、日本郵船の内藤忠顕代表取締役社長、TDGのロベルトC.デルガド会長らが出席し、2011年に入学した第5期生107人の卒業を祝った。TDGは、1976年に現会長のデルガド氏により設立された企業グループで、船舶の代理店業と船員供給・教育事業に加えて、航空事業や物流事業を行う。日本郵船とは、設立時の1976年から協力関係にある。

 NTMAは2007年6月に、日本郵船の創業120周年記念事業の一環として、マニラ近郊カンルーバン市に開校された。「フィリピン高等教育庁」の認可を取得した正式な大学であり、3年間の講習と1年間の乗船実習の全寮制の4年制商船大学である。 現在の一学年の定員は、航海科と機関科、夫々70名の計140名(2012年入学までは夫々60名の計120名)、職員は約70人。理念として、「学生個々の人格形成と実践的な海事技術の習得を中心にした世界に通用する船員の高等教育を行う」と掲げられている。2012年に施設拡張が行われた。

 NTMAは2007年の開校以来、独自の奨学金制度を整え、家庭環境から大学に通うことが困難な学生に対しても大学進学の道を開き、日本および世界で培ってきた船員育成の経験を活かし、フィリピンの状況に合わせた基礎学力を向上させる独自のプログラムと乗船実習などにより質の高い船員の育成を図っている。また、2011年8月、国土交通省が創設した機関承認制度において、日本初の船員教育機関校としての認定を受けるなど商船学校として高い評価を得ている。

 NTMA卒業生は海技免状の取得後、日本郵船グループ運航船に三等航海士、三等機関士として乗船し、ハイリスク船を含めた運航船で船長、機関長を目指す。2011年9月の第1期生から今回の第5期生までの累計卒業者数は既に554名に達し、第4期生までの大半が日本郵船グループ運航船で航海士または機関士として活躍している。

 日本郵船は他の船会社に先駆けてフィリピンに上記のような商船大学を設立したほか、船員向けのトレーニング施設やマンニング施設の増強、マニラでの船舶管理会社事務所の開設などを進め、最大の船員供給国であるフィリピンで幹部船員育成に注力してきている。

 2013年には日本郵船運航の液化天然ガス運搬船(LNG船)で、日本郵船では初となるフィリピン人の船長1人と機関長1人が誕生している。日本郵船のLNG船を始めとするハイリスク船の船長や機関長職は、それまで日本人、東欧人、インド人が務めていたが、船員に対し国籍を問わず統一要件を設定した独自のプログラムでもある「NYKマリタイムカレッジ」を通じて人材育成を行ってきた。日本郵船グループはフィリピン人にもハイリスク船幹部登用への道を開き、既にその成果が顕在化しつつあるといえる。

 日本郵船は今後も、将来の船員の中核となる幹部候補として、フィリピン人船員のさらなる「質」と「量」の向上を図っていく方針である((15年9月24日の日本郵船株式会社ニュースリリースなどより)。

  既報のとおり、日本郵船の「乗組員の姿勢と意識改革活動(安全体感研修とPower+プロジェクト)」が、国土交通省の2015年度船員安全取組大賞に選定された。同賞は船舶所有者等の自主的な船員災害防止活動の促進を図るため、第10次船員災害防止基本計画の新たな取り組みの一環として、船員、船舶所有者及びその関係 者が実施、または実施しようとしている先進的で優良な取り組みを、「船員安全取組大賞」として表彰しており、昨年度に引き続き2回目の選定である。