比の地熱発電導入進展、日本が多大な貢献

2015/09/04

 フィリピンはインドネシア、米国、日本に次ぐ第4位の地熱資源国であり、累積地熱発電設備容量では世界2位を占めている。

 このほど、新エネルギー財団「アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィス」は、 そのホームページに、フィリピンにおけるフィリピンにおける地熱発電導入の進展ついて掲載した。その概要は以下のとおり。

 フィリピンは米国、インドネシア、日本に次ぐ世界第4位の地熱資源国であるが、2000年以来地熱発電の導入が停滞していた。比政府は2009年施行の再生可能エネルギー法により、再生可能エネルギーの導入を促進しており、地熱発電については、地域別、年毎の導入目標を定めて導入を促進している。 2014年2月にその第1弾として、設備容量20MWのマイバララ地熱発電所が完成し運転を開始した。

 地熱発電事業の活性化につれて、海外事業者の参加も増えており、丸紅(株)とイタリアの再生可能エネルギー発電開発事業者のEnel Green Power(EGP)は、フィリピン地元企業を含めた合弁会社を設立し、2020年を目標に100MWを超える発電所を建設する予定である。

 また、三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は、フィリピンのグリーン・コア・ジオサーマル社(GCGI)からトンゴナン地熱発電所の更新工事を受注。 これは1981年にMHPSが納入した蒸気タービン3基を最新鋭のものに交換する内容である。

 さらに、フィリピンエネルギー省では、候補地に対する事業者を競争入札で決める再生可能エネルギー導入制度であるOpen and Competitive Selection Process(OCSP)により、2015年の9月に新たに4カ所の地熱発電候補地の事業者を競争入札で決めることにしている。この入札は2009年以 来2回目であるが、政府が事業者を決めることで、事業が中断さることなく完成されることを狙いとしている。上記のマイバララ地熱発電所は2009年の OCSPの成果であり、今後も地熱発電所建設が着実に進むことが期待される

フィリピンの地熱発電導入目標

地域  年別導入目標(MW)
2013-15年 2016-20年 2021-25年 2026-30年 地域合計
ルソン 20 800 65 - 885
ビサヤ 30 150 - 60 240
ミンダナオ - 230 90 20 340
合計 50 1180 155 80 1465

(出所:地熱資源委員会資料-アジア・バイオマスエネルギー協力推進オフィスより作成)

 地熱発電事業候補地: ルソン島北部ベンゲット州アクパン-イトガン(10-20MW)、南レイテ州アナハワン(26-34MW)、ミンダナオ島コンポ ステラバレー州アマカン(20-40MW)、ミンダナオ島西ダバオ州バルット・アイランド(10-40MW)(15年9月のアジア・バイオマスエネルギー協力推進委員会発表などより)。

 なお、フィリピンが誇る世界的な地熱発電企業であるエナジー・デベロップメント(EDC)の東ネグロス州バレンシアのナスロ地熱発電所が、2014年9 月26日に稼働した。この発電所は、EDCの旧北ネグロス地熱発電所を移転したものであり、今後、ビサヤ地方におけるクリーン・エ ネルギーの重要な拠点となる。

 北ネグロス地熱発電所は、ネグロス島の北西部に位 置し、2007年に富士電機製の地熱発電所設備一式が納入された。その後、同発電所地域では地熱発電設備を継続的に稼働するための十分な蒸気を確保するこ とが困難となったため、EDCは、 同発電所の主要既存設備をネグロ島南東部の東ネグロス州バレンシアのナスロへ移設することを決定したのである。

 住友商事は、この北ネグロス地熱発電所主要設備のナスロへの移設案件を2012年12月に受注した。この案件では、住友商事が主契約者となり、太平電業 グループ並びにフィリピンの工事会社が参画。また、富士電機からも技術面の支援を受け、2014年内の移設完工を目指し工事を進めてきたが、予定通り完 工、稼働開始となった。

 住友商事は1998年に富士電機と共に、フィリピン最大規模のマリトボグ地熱発電所(77.5MW x 3基)を手掛け、完工させた実績がある。フィリピンでの実績を含め、住友商事が工事・主要機器の供給に携わった地熱発電プロジェクトの総出力は約 2,200MWに達する。

 上記のマイバララ地熱発電所のタービンなど発電装置・機器類は富士電機から 調達された。また、横川電機の子会社であるヨコガワ・フィリピン(ケソン市)が、制御システムの設計、調達、配送、据付、試運転に関するEPC契約を締 結、発電用蒸気タービンの付帯設備と蒸気・熱水配管設備を監視・制御する統合生産制御システム、フィールド機器をリアルタイムかつリモートで管理する統合 機器管理ソフ トウエアパッケージ「PRMR」などを納入している。すなわち、同発電所は日本の技術による地熱発電所といえる

 これらの例でみられるように、日本や日本企業は、世界第2位の規模のフィリピン地熱発電事業に大きく貢献しているといえよう。