りそなとRCBC、協力関係一層強固に

2015/03/12

11日に共同セミナー・顧客交流会開催

 

 3月11日、マニラ首都圏マカティ市のリサール商業銀行(RCBC)において、りそなグループとRCBCによる共同セミナー・顧客交流会が開催された。

 このイベントは2部制で、第一部は、りそな銀行アセットマネジメント部のチーフ・マーケット・ストラテジストの黒瀬浩一氏による講演「今後の国内外の経済・投資環境について」が行われた。フィリピンについては、「高成長が続く一方、インフレ率は低水準で推移している。経常収支も黒字が続いており、米国金融政策が緩和から引締めに転換しても構造的なリスクは小さい」などと説明、これらファンダメンタルズなどの良好さが、ペソ堅調、株式市場の世界屈指の強さにつながっているとした。

 第2部は懇親会で、りそな銀行の池田博之代表取締役副社長、埼玉りそな銀行の中尾安志取締役兼常務執行役員、近畿大阪銀行の福崎康裕執行役員、RCBC のヘレン・ディー会長、RCBCのロレンソ・タン頭取など両グループの幹部、そして、100名以上の顧客が出席、交流を行った。

 なお、りそなグループは、フィリピンの有力銀行RCBCとの協力関係を深耕化することで、日系企業のフィリピン進出支援体制を強化してきている。

 まず、りそな銀行は2012年3月に、RCBCとの間において、フィリピンにおける金融機能の提供(取引先企業の現地法人に対する融資取引等)を始めとする業務提携を行った。

 2013年5月には、りそな銀行は、フィリピン経済区庁(PEZA)およびRCBCの間で協力覚書を締結した。この協力は、りそな銀行がPEZA およびRCBCと緊密に連携して、フィリピン進出に関するアドバイス、フィリピン投資説明会の開催、進出時における諸手続きのサポートを行うなどフィリピ ンに進出を検討する日系企業への支援体制の充実を図るものである。

 さらに、2013年9月には、りそなグル―プの埼玉りそな銀行と近畿大阪銀行が、各々、リサール商業銀行との間において、フィリピンにおける金融機能の提供 (取引先企業の現地法人に対する融資取引等)を始めとする業務提携に関して合意した。りそな銀行を含むグループ3行がRCBCと提携することになり、グ ループとしてのフィリピン進出支援体制が強化された。

 ただし、りそなグループにはフィリピンに自前の拠点を有しておらず、りそな銀行シンガポール駐在員事務所からの対応にとどまっていた。フィリピン現地で のフォロー体制を強化するために、2014年頃からRCBCのジャパンデスク内に駐在員を派遣、コンサルタントとして常駐させている。駐在員は山戸 昭雄氏である。

 RCBCはフィリピンの有力財閥ユーチェンコグループ傘下の中核企業である。ファーストシニアバイスプレジデントの松本康宏氏ら日本人駐在員3名(うち 一人は山戸 昭雄氏)を含む総勢40名超の日本企業部はフィリピン民間商業銀行でも有数の規模である。日系企業700社超と取引を有し、主要工業団地に支店を開設するなど、日系企業に対し充実した金融サービスを提供している。

 支店網拡充やATM台数増加などネットワーク拡充も推進しており、2014年12月末の店舗数は449店(前年同月末は435店)、ATM台数は 1,202台(同1,150台)、顧客数は670万人(同590万人)に達している。
 
 バーゼルⅢ基準での自己資本比率(CAR)は15.37%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本 (TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も11.83%で中央銀行の最低基準8.5%をかなり上回っている。そして、現在さらなる資 本拡充を行いつつあり、CARやCET比率が一段と上昇することになる。

なお、RCBCのヘレン・ディー会長は、有力経済誌「フォーブス」アジア版3月号「アジア有力女性実業家50人2015年」に選出された。フィリピンから選出されたのは、ヘレン・ディー会長のほか、SMインベストメンツ副会長やBDOユニバンク会長などを務めているテレシ―タ・シ―・コソン氏、小売り大手SSIグループのゼナイダ・R・タントコ会長の3名であった。