エーザイと味の素、比で肝硬変治療薬を発売
2015/01/26
「リーバクト(日本名)」、血清アルブミン値を改善
フィリピン肝硬変患者数13万人、年間1万人死亡
エーザイと味の素製薬は、このほど、分岐鎖アミノ酸製剤「LIVAMINR Oral Granules」(イソロイシン・ロイシン・バリン顆粒、日本製品名「リーバクト配合顆粒」)をフィリピンで新発売した。
この製剤は、味の素製薬が製造販売権を有する分岐鎖アミノ酸製剤である。エーザイは、2009年2月に締結されたアジア諸国での販売権に関する基本契約に基づき、味の素製薬より、フィリピンのほか、香港、中国、マカオにおける本剤の独占的販売権を取得している。フィリピンにおいては、エーザイの子会社ハイ・エーザイ・ファーマシュー ティカル(HEF、本社:マカティ市).が2014年4月に「食事摂取量が十分にもかかわらず低アルブミン血症を呈する非代償性肝硬変患者の低アルブミン血症の改善」に係る適応で、承認を取得した。
肝硬変は、慢性肝炎が進行し、肝臓に繊維が増生して組織が硬くなり、正常な機能を果たせなくなった状態である。肝機能の一部に障害があっても明らかな症状が認められない代償期と、肝機能がさらに低下して黄疸や全身倦怠感、腹水、浮腫、脳症などの症状が出現する非代償期とに分類される。非代償性肝硬変にみられる症状は、肝硬変の進行に伴って発現する低アルブミン血症による低栄養状態や代謝障害が原因である。この製剤は、非代償性肝硬変患者様の血清アルブミン値を改善する薬剤である。
フィリピンにおける肝硬変の患者数は約12万7,000人で、2010年には約9,200人が肝硬変を原因として死亡したと報告されており、肝硬変はフィリピンにおける医療上の大きな課題となっている。
この製剤は、香港においても2014年6月に承認されており、2014年度中の発売を予定している(香港での製品名は「LIVACTR Granules)。また、中国においては、承認取得に向けて臨床試験を進めています。両社は、これらの国々でこの製剤を販売しし、肝臓疾患の患者のQOL(クオリティ・オブ・ライフ、生活の質)の改善とベネフィットの向上に、より一層貢献して行く方針である(15年1月26日のエーザイ株式会社と味の素製薬株式会社ニュースリリースより)。