フィリピン証券取引所(PSE)、日系企業の上場誘致へ

2015/01/18

21日に東京でセミナー、宝印刷やKPMGなどが説明
22日と23日には大和証券と対比投資説明会を共催

 

 フィリピン証券取引所(PSE)は、1月21日から23日まで日本を訪問、フィリピンへの投資誘致活動などを展開する。



 1月19日付けビジネス・ワールド紙電子版などによると、PSEは1月21日に、日本企業約150社に対し、「フィリピン経済の現状と見通し」というセミナーを実施、フィリピン証券市場への投資などを誘致する。さらに、日系企業のPSE上場を働きかけたり、PSE上場への関心を醸成するとのことである。

 PSE上場働きかけについては、宝印刷(本社:東京都豊島区)、KPMGグループ、森・濱田松本法律事務所がPSE上場規則・基準や情報公開規則などを説明する。なお、宝印刷とPSEは、2013年9月に、業務提携覚書に署名した。この業務提携は、日本の投資家のフィリピン証券市場への関心を高め、フィリピン証券市場への投資拡大や日系企業のPSE上場促進を目的としたものである。そして、フィリピン証券市場に関する情報の共有、両国でのIR活動や広報活動での協力などが謳われている。

 PSEは、日本の投資家のフィリピン証券市場の関心を高めるためには、日本語での情報提供が不可欠と判断、ディスクロージャーやIR関連の大手企業である宝印刷との提携に至った。既に宝印刷は、2013年2月に、PSE上場規則集を日本語に翻訳したという実績がある。

 PSEには現在、トヨタモーター・フィリピン(TMPC)を51%保有するメトロバンク・グループの持株会社GTキャピタル・ホールディングス(GTCAP)、フィリピン・ミニストップを主導するロビンソンズ・リテイル、フィリピン・ファミリーマートを主導するSSIグループなどの日系関連企業が上場しているが、これらは現地企業である。

 PSEに日系企業が直接上場しているのは、パナソニックのフィリピンにおける製造・販売拠点であるパナソニック・マニュファクチャリング・フィリピン(PMPC)くらいである。PMPCの前身であるプレシジョン・エレクトロニクス(PEC)が1983年1月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場された。
 
 現在、PMPCは額面1ペソの普通株式を約4億2,272万株発行している。そのうち、フィリピン人のみが投資可能なA株8,472万株が上場されている。日本のパソニック本社のPMPC保有比率は、2014年9月末時点で79.96%である。パナソニック本社の保有するのはPMPCのB株である。PSEは、21日のセミナーにより、今後、日系企業のPSE上場に対する関心が高まることを期待している。

 PSEは22日と23日には、大和証券グループのフィリピン拠点であるDBP大和証券キャピタル・マーケッツ・フィリピンと「フィリピン・コーポレート・デー」と称するフィリピン証券市場関連説明会を共催する。今年で3回目となるこの説明会においては、PSEの最近の動向や上場企業の動向を紹介、フィリピンの証券への投資を働きかける。

 この説明会には、PSEのほか、コングロマリットのアヤラコープ、同サンミゲル、同JGサミット、同アライアンス・グローバル、同メトロ・パシフィック・インベストメンツ(MPIC)、最大行のBDOユニバンク、世界的な地熱発電企業エナジー・デベロップメント(EDC)、石油元売り最大手のぺトロン、有力不動産企業のロビンソンズ・ランド、大手食品企業おユニバーサル・ロビナ(URC)という有力上場企業が参加する。そして、日本の有力機関投資家25社に対し、経営方針、業績、財務状況などについて説明する。