比セブンイレブン、9カ月間の純利益8.5%増の4.7億ペソに

2014/11/11

5年間年率35%の利益成長、9月末1169店で業界断トツに

 

フィリピンでコンビニエンス・ストア業界が順調に発展しつつある。現在は業界断トツのセブンイレブンをマーキュリー・セルフサービスやミニストップが追うという構図になっている。そして、昨年にはファミリーマートとサークルKが進出、ローソンも今年6月に 「2014年中にフィリピン1号店をオープンする」と発表した。

 

 首位のセブンイ レブンは、台湾系のプレジデント・チェーン・ストア(ラブアン)ホールディングスが51.561%を所有(2014年9月末現在)するフィリピン・セブン社 (PSC)によって運営されている。 PSCは1982年11月に設立され、同年12月に米国テキサス州ダラスのサウスランド社(その後セブン・イレブン 社に社名変更)からフィリピンでのセブンイレブン運営ライセンスを獲得。1998年2月4日にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。
 
 フィリピンでのセブンイレブン第1号店は、 1984年2月にケソン市エドサ通り沿いにオープンした。当初の出店ピッチは鈍く1996年にようやく100店体制となった。しかし、2000年の小売業界規制緩和を契機に下表のように出店ピッチが速まり2010年に500店を突破した。そして2013年年末には前年末比180店増、率にして21.7%増の1,009店となり、1千店の大台を突破した。

 2014年に入っても店舗数は順調 に増加している。9月末の店舗数は1,169店に達し、前年同月末の937店から232店、率にして24.8%の増加となっている。そして、2014年年末までに1,250店体制とすることを目指している。

店舗網の拡充とともに、近年の業績は上昇基調を辿っている、最終損益は2004年の200万ペソの赤字から2005年には1,380万ペソの黒字に転換、2008年の純利益は2005年比6.1倍の8,430万ペソへと急増した。その後の5年間の純利益も年率35%の増加が続き、2013年には6億8,260万ペソにまで拡大した。2013年の株主資本利益率(ROE)も30.7%と良好である。

 2014年の業績も堅調に推移している。9カ月間の全店売上高は前年同期比18.1%増の148億1,160万ペソ、商品売上高は同17.5%増の121億7,070万ペソ、営業利益は同8.9%増の6億8,040万ペソ、純利益は同8.5%増の4億6,830万ペソとなった。

 今9カ月間の業績は、一桁増益にとどまりこれまでの高成長にややブレーキが掛かったかたちとなった。しかし、前年同期には、①5月13日投票の中間総選挙に向けての特需があった、②前年第1四半期(1月~3月)には、主力商品の一つである煙草が大幅増税を控えての買い溜めで大幅増収であったという特殊要因 があった。このような特殊要因を考慮すれば、PSCの今9カ月間の実態は好調であったと言えよう。
 

 フィリピンのセブン・イレブン店舗数(年・月末)と純利益(単位:百万ペソ)推移推移

時期 06年 07年 08年 09年 10年 11年 12年 13年 14年3月 6月 9月
店舗数 287 311 368 447 551 689 829 1,009 1,049 1,121 1,169
   純利益 20.1 54.8 84.3 155.8 276.9 356.3 465.2 682.6 100.0 323.9 468.9

(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 PSCは現在、地方にも積極進出しつつある。2012年年央までは、店舗展開はルソン地域に限られていたが、今後はビサヤやミンダナオでも積極展開する方針であり、一昨年7月31日にセブに初出店した。2013年末でセブ45店、バコロド9店となっている。セブでは早期に100店体制とする方針である。さらに、フランチャイズ活用を図りつつあり、2014年9月末のフランチャイズ店比率は66%に達している。

 商品構成でも強化が図られつつある。例えば最近、ツナマヨむすび、チキン照り焼きむすび、カリフォルニア巻きなど日本の米食系スナックの販売も開始した。このような、セブンイレブンを後続コンビニが追撃しようとしているが、セブンイレブンの動きも早く、現時点では店舗数の差が拡大傾向にある。

 業界全体としてみれば、新規出店効果、商品構成強化、効率化、公共料金支払いやクレジットカード取り扱い拡大などによる顧客の利便性向上、コンビニの認知度の一層の高まりなどにより、順調な発展が続いていると言えよう(各社のウエブサイトや資料などより)。

フィリピンのブランドコンビ二エンス・ストア店舗数とシェア

  2010年末 11年末 12年末 13年末 13年シェア 14年3月末 6月末 9月末
セブン・イレブン 551 689 829 1,009 46% 1,049 1,121 1,169
マーキュリー・セルフサービス 287 345 606 680 31% N.A. N.A. N.A.
ミニストップ 332 327 337 386 18% 402 414 435
サンミゲル・フードショップ 13 25 60 63 3% N.A. N.A. N.A.
ファミリーマート - - - 31 1% 40 46 63
サークルK - - - 2 0% N.A. N.A. N.A.
合計 1,183 1,386 1,832 2172 100% N.A. N.A. N.A.
(出所:フィリピン・セブン資料、ミニストップ資料などより作成、ミニストップ店舗数は日本側発表値)