フィリピン航空持株会社のTOB開始

2014/10/18

PSEからの自主的上場廃止の可能性
サンミゲルの出資撤退に伴う措置

 

 ルシオ・タン氏グループ傘下のブオナ・ソルテ・ホールディングス(BSHI)とホライゾン・グローバル・インベストメンツ(HGLI)が、フィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(PALH)の株式公開買い付け(TOB)を実施する。



 このTOBは、ルシオ・タン氏グループが今年9月に、サンミゲルが間接保有していたPALH株式を買い戻したことに伴う措置である。

 サンミゲルは2012年に、 100%子会社であるサンミゲル・エクイティー・インベストメントを通じて、PALホールディングス(PALH)の大口株主であるトランスマーク・ホールディングス(トランスマーク)の株式49%を取得、PALHに間接出資を行った。

 PALHの傘下にはフィリピン航空(PAL)や格安航空会社エア・フィリピン(エア フィル)があり、サンミゲルはPALグループをルシオ・タン氏グループとともに共同支配することになった。しかし、2年後に、ルシオ・タン氏グループが、サンミゲルのトランスマーク出資分を買戻し、PALホールディングスを再びほぼ完全支配することとなった。

 サンミゲルが保有していたトランスマーク株式49%を取得したのがBSHIとHGLIである。BSHIとHGLIはトランスマーク傘下の上場企業であるPALHを大口取得したことになったわけであり、PALHの少数株主に対するPALH株式の公開買い付け(TOB)を実施することとなった。

 2014年9月末現在のPALHの少数株主比率(浮動株式比率)は約10.22%であり、フィリピン証券取引所(PSE)の浮動株式比率最低基準である10%を辛うじてクリアーしている。ルシオ・タン氏グループは、「今回のTOBは、PALHを非公開企業とすることを目的としたものではない」と表明している。しかし、TOBの結果次第ではPALHの浮動株式比率が10%を大幅に下回り、結果として、PALHのPSEからの自主的上場廃止、すなわち非公開企業化につながる可能性もある(14年10月17日のフィリピン証券取引所回覧05446-2014号より)。