8月インフレ率4.9%、前月と同水準に高止まり

2014/09/05

食料8.7%値上がり響く、コアインフレ率は3.0%
8カ月間で4.4%、目標圏内も単月では上限接近

 

 フィリピン国家統計局(NSO)発表によると、2014年8月の総合消費者物価(2006年=100)は前年同月比で 4.9%上昇(速報値)した。前月から横ばいとなったが、特定食品・エネルギー関連品目等変動の激しい品目を除いたコアインフレ率は3.4%と前月から0.4%ポイント上昇した。



 前月に引き続き、2011年10月(5.2%)以来最も高い水準になったが、 フィリピン中央銀行(BSP)の当月予想 (4.7~5.5%)圏内に収まった。8月は、コメや野菜、地元石油製品の価格が低下した分、肉・魚類、コーンなど一部食料品と電気料金など非食料品目が値上がりし、結果的に前月のインフレ率を維持した。

 地域別では、マニラ首都圏(地域別構成比30.006%)の総合インフレ率は4.4%で前月(3.9%)から0.5%ポイント上昇。一方、首都圏以外の 地方 (地域別構成比 69.994%)の総合インフレ率は5.0%と、前月(5.1%)から0.1%ポイント低下した。インフレ率が最も高かった地方は東ビサヤ地方(7.7%)、次いでビコール地方(6.6%)、ソックサルジェン(6.2%)。セブ州など中央ビサヤ地方は5.2%。最もインフレ率が低かっのは、ダバオ地方(4.0%)であった。

 2014年年初8カ月間(1~8月)の平均総合インフレ率は4.4%で、2014年度政府インフレ目標(3.0~5.0%)の中央値より高めで推移している。平均コアインフレ率は3.0%であった。 



           消費者物価上昇率(インフレ率:2006年基準の前年同月比%)

項目 2014年8月 2014年7月 2013年8月 14年1-8月
全国    総合インフレ率 4.9 4.9 2.1 4.4
       コアインフレ率 3.4 3.0 1.9 3.0
首都圏  総合インフレ率 4.4 3.9 -0.1 3.4
地方    総合インフレ率 5.0 5.1 2.7 4.7

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)



              総合消費者物価上昇率年平均(2006年基準、前年同月比%)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
平均インフレ率 8.3 4.2 3.8 4.6 3.2 3.0

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


     政府のインフレ率目標と実績の推移(過去実績はその目標設定時の2000年基準値)

2008年 2009年 2010年 2011年 2012~14年 2015~16年
インフレ目標 3.0~5.0% 2.5~4.5% 3.5~5.5% 3.0~5.0% 3.0~5.0% 2.0~4.0%
インフレ率実績 9.3% 3.2% 3.8% 4.4% - -

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)


                 総合消費者物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 年間 13年 14年
13年 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
総合 3.0 2.1 2.7 2.9 3.3 4.1 4.2 4.1 3.9 4.1 4.5 4.4 4.9 4.9
食料品・非アルコール飲料 2.8 1.8 2.5 3.2 3.9 4.8 5.5 5.5 5.8 6.2 6.7 7.4 8.2 8.3
酒類・煙草 29.8 31.0 31.2 31.0 30.7 30.9 17.6 7.1 4.9 4.1 4.0 3.7 3.5 3.5
衣料・靴類 3.6 3.0 2.9 3.0 2.9 3.1 3.4 3.7 3.7 3.3 3.4 3.4 3.3 3.4
住宅・光熱・燃料 1.7 -0.3 1.1 0.8 1.9 3.5 3.4 3.6 2.7 3.1 3.7 2.3 2.4 2.7
家庭用品・営繕 3.3 2.4 2.3 2.2 2.3 2.4 2.6 2.8 2.8 2.4 2.5 2.6 2.6 2.7
健康・医療 3.0 2.6 2.7 2.5 2.5 2.9 3.2 3.3 3.3 3.0 3.0 3.0 3.2 3.3
交通・輸送 0.6 1.0 0.6 0.5 0.7 1.2 1.2 1.0 1.0 1.3 1.5 1.3 1.5 1.1
通信 0.2 0.1 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.1 0.1 0.0 0.0
娯楽・文化 2.3 2.5 2.5 2.5 2.5 2.4 2.5 2.5 2.4 2.4 2.3 1.2 1.3 1.3
教育 4.5 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 4.7 5.0 5.1 5.1
外食・サービス他 2.4 2.2 2.2 2.2 2.1 2.3 2.2 2.2 2.0 2.0 1.9 1.9 1.8 1.7
首都圏 1.6 -0.1 1.1 1.1 1.9 2.6 2.7 2.8 2.9 3.3 3.8 3.6 3.9 4.4
 地方 3.3 2.7 3.1 3.4 3.8 4.6 4.6 4.5 4.2 4.4 4.7 4.7 5.1 5.0




                    食料品物価上昇率(2006年基準、前年同月比%)

項目 食料 コーン 果物 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 パン・シリアル 砂糖・菓子類 その他食品
13/8月 1.8 3.9 3.6 4.3 -2.6 2.0 1.4 1.7 -7.3 3.6 -4.1 2.8
9月 2.5 7.1 3.9 3.8 -3.7 2.0 1.5 1.7 -6.8 6.0 -4.2 3.3
10月 3.4 7.8 3.7 3.8 1.2 2.2 2.5 1.6 -5.6 6.4 -4.0 3.4
11月 4.0 8.1 3.6 3.9 5.4 2.2 3.1 1.5 -4.5 6.6 -2.7 3.3
12月 5.0 9.2 3.8 4.3 9.8 2.3 3.3 1.7 -1.9 7.4 0.1 3.6
14/1月 5.7 10.0 3.3 4.2 12.1 2.6 4.3 2.0 0.4 8.0 2.0 3.8
2月 5.9 10.7 3.0 5.5 12.0 2.6 3.9 2.3 1.2 8.4 2.4 3.9
3月 6.0 11.8 4.5 5.8 8.7 2.9 3.9 2.4 2.2 9.4 3.1 4.7
4月 6.5 12.1 4.9 5.8 8.2 3.4 5.0 2.5 3.4 9.7 3.6 6.5
5月 7.1 12.9 5.6 6.1 8.4 4.0 5.6 2.8 5.1 10.3 4.3 9.1
6月 7.8 13.6 7.2 4.6 12.4 4.6 5.4 3.1 6.1 10.8 6.4 10.3
7月 8.7 14.4 7.8 5.8 16.1 5.1 5.8 3.6 7.0 11.5 7.1 10.0
8月 8.7 13.2 9.1 8.3 15.0 5.9 6.4 4.2 7.5 10.7 7.5 9.6

(出所:フィリピン国家統計局資料より作成)


 なお、中央銀行(BSP)発表によると、2014年8月の総合インフレ率(2006年=100)4.9%への寄与度は、食料品・非アルコール飲料3.2% (うち食料品3.2%)、住宅・光熱・燃料0.6%、外食・サービス他0.2%、教育0.2%、酒類・煙草0.1%、衣料・靴類0.1%など。
 8カ月間の平均総合インフレ率4.4%への寄与度は食料品2.6%、住宅・光熱・燃料0.7%などである。

 中央銀行(BSP)は、今後も、通貨政策の決定が物価安定の基本方針と一致するよう価格や生産の動向を綿密に監視していく方針を示した(14年9月5日のフィリピン国家統計局と中央銀行発表より)。
 

               14年8月のインフレ率(2006年=100)と寄与度(%)

項目 物価指数 8月 1-8月
構成比 インフレ率 寄与度 インフレ率 寄与度
総合 100.0 4.9 4.9 4.4 4.4
食料品・非アルコール飲料 39.0 8.3 3.2 6.7 2.6
   うち食料品のみ 36.3 8.7 3.2 7.0 2.6
酒類・煙草 2.0 3.5 0.1 5.9 0.1
衣料・靴類 3.0 3.4 0.1 3.4 0.1
住宅・光熱・燃料 22.5 2.7 0.6 3.0 0.7
家庭用品・営繕 3.2 2.7 0.1 2.6 0.1
健康・医療 3.0 3.3 0.1 3.2 0.1
交通・輸送 7.8 1.1 0.1 1.3 0.1
通信 2.3 0.0 0.0 0.0 0.0
娯楽・文化 1.9 1.3 0.0 2.0 0.0
教育 3.4 5.1 0.2 4.8 0.2
外食・サービス他 12.0 1.7 0.2 1.9 0.2

(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)